ギロチン少女マジカル☆ギヨたん1-12全

ギロチン少女マジカル☆ギヨたん1-12全

作者:Dadarklore

這個是我覺得看過相當不錯的日文BF小說之前曾在版上貼過一部分最近因為原網站封閉了所以在這裡將全文貼上供同好欣賞ちゅ……ちゅっ……。

夜の路地裏に、水がピチャピチャと跳ねるような音がした。

路地に人通りのまったくないほどの夜更け、その裏には下半身を突き出した男が恍惚とした表情でだらしなく涎を垂らしている。

「んっ、ふうっ……ちゅっ」

男の股の間で屹立した肉棒を幼い少女が銜えていた。黒いドレスに白いフリル。黒と白のコントラストが印象的な、まだ十代の半ばにも達していないような少女だ。

ぺたんと地面に座りこんでいる少女は、がくがくと震える男の腰に抱きついて、根本まで呑み込んだペニスにねっとりと舌を絡みつかせている。

情熱的なわけでもなく――作業的に男の弱点を丹念に、まるで玩具でも愛でるようにカリ首の合間に滑り込ませてじゅるりと舐めていた。

「あむ……ちゅじゅっ、ぢゅ……んちゅっ」

そのまま舌は亀頭の頭を撫でていき、尿道をマッサージしていく。少女とは別の生き物みたいに動く血のように赤い舌に、男は背筋を震わせた。

その執拗な舌責めは幼い外観からは想像も付かない淫らさで、奉仕される男は少女の頭に手を添えて立っているのが精一杯だった。

「あ、あああ……もう駄目だっ、出――!」

言い終わるまで男は耐える事ができず、少女の口の中で肉棒がスペルマを間欠泉みたいに噴き出した。

「んぐ……っ」

どくんどくんっと心臓みたいに激しく脈打ちながらペニスが放出した口内から溢れ出そうなほどの白濁とした精液を、少女は嫌な顔すらせずに無表情で呑み込む。小さな喉が何度も上下に動いて、精液は胃に流れ落ちていった。

少女は熱い吐息をついて男性器から口を離すと、肉棒に絡みついた精液を舌ですくい取る。かわいらしい真っ赤な舌が敏感になった亀頭を舐めて、男はがくがくと足を震わせると腰を抜かして路地裏にへたり込んでしまった。

それでもむき出しになった男の陰茎は屹立としていて、少女は無言で下着を脱いで男の躯に跨ると、ドレスのスカートをたくし上げた。毛も生えていない未成熟 な女性器が眼前で恥ずかしげもなく晒されて、男は顔を紅潮させた。どんなに女性として成熟した者の性器よりも、そのいやらしさと可憐さが奇妙なバランスを 持った花弁のような少女のヴァギナは淫靡だったのである。

見とれて一言も口をきけない男のペニスに向けて、少女は見せつけるかのようにして腰を下ろした。

亀頭が入り口に触れる。

だが、期待していた感覚は男にはやってこなかった。

挿入されるのかと思いきや、愛液で滑ったペニスは少女の性器をなぞっただけであった。男は入れてくれ、と懇願するように少女を見上げる。

そこには蔑むような冷たい視線があった。

自分よりもずっと年下からの冷罵でありながら、男は既に蛇に睨まれた蛙になってしまっていた。

男が硬直しているうちに、少女は男の下腹部の上に座った。しかし挿入はされておらず、未熟な性器で陰茎を押しつぶす。

少女がじっと男を見て、腰を肉棒にそって動かした。ずるり、ずるり、と性器の口で射精したばかりのペニスを擦りあげると、男は女性みたいな高い嬌声をあげた。

裏筋をなぞる女性器は蛸の吸盤のように吸い付き、そのままペニスを横笛みたいになぞるのだ。愛液でびしょびしょにされた肉棒の根本から裏筋をなぞって亀頭の筋まで。ぐちゅり、ぐりゅりと音を立てて刺激する。

女性器によるマッサージ。少女は男のペニスを挿れるわけでもなく、寸止めして弄んでいた。だが男は異を唱えられない。裏筋を集中的に滑るヴァギナはそれだけの快楽を与えた。

少女の腰の動きが速くなる。短いスパンで何度も何度も陰茎が摩擦し、カリを入り口でなぞってはまた筋を舐めていく少女の下半身に、男の性欲はまたもや解放のときを迎えた。

「あああ、あああ――ッ!

どぷっ! とひねり出される精液。

少女の白い太腿に飛び散りながら、子種は男自身の身体に降り注いだ。なにも身に着けていない下半身と服を着たままだった上半身が青臭い液体でべっとりと汚れてしまった。

はあ、はあ、と肩で息をする男から少女は立ち上がり、またペニスに口を寄せる。どろどろと白濁にコーティングされた亀頭を銜えた。

「あがっ!?」

稲妻のような快楽に男の腰が浮き上がる。

「も、もうやめて……」

少女は答えることなく、男の精液を吸い上げた。

ちゅっ、と一際大きな音を立てて亀頭を吸うと、少女は陰茎から口を離して喉を大きく上下させて口の中の白濁とした液体を呑み込んだ。

あとに残されたのは、自分の精子で濡れた哀れな男の死体だけだった。

少女の耳に、足音が聞こえてくる。

新たな獲物を見つけた。

その方向へ顔を向けて、少女は路地裏を後にする――。

*ある時代、ある日の広間。

人を焼き殺すような熱気、目を潰すほどに燦爛と輝く日輪。

声だけで人を圧壊するような熱狂の渦の中で、――ひとつの首が宙を舞った。

断頭台が落ちたのだ。幾多の人の血を吸った忌まわしき鈍重なる刃が、また無慈悲に人の首を狩り落とした。

だが、果たして。無慈悲だったのはギロチンなのか。それとも、刃を落とした人間だったのか。

舞う首の金髪が光を反射する、それはまるで金粉をまき散らしているようで。その生首は、神々しい死の煌めきをまき散らしながら、広間の石畳に転げ落ちた。

その男の生前を語るのならば、ただかつて処刑の執行人をしていたというだけで事足りる。それ以外に、なにもないような男だった。血縁などいなかったが、そ れはこの時代において悲劇たり得なかったろうし、なにより本人がそれを当然と受け入れていた。幸いにも食事は毎日ありつけていたし、鍛えた躯は健康そのも のだった。

処刑人という陰惨な、人からの畏怖と憎悪を買う仕事を

していながら、本人は至って素朴な男だった。たいして言葉を知らぬから、口数は 少ないうえ人と親密な関係になることもなかった。劣悪な生活環境は改善しようとするが、上昇思考があったわけではない。本当に、素朴という言葉がよく似合 う。

ああ、知っている――とソレは嘆いた。

けして、殺されていいようなものではなかった。

こんなことで、死んでしまっていいようなものではなかった。

命に区別はない。ひとしく同義だ。それは、ソレが一番理解していた。己の用途が故に。

だが。その男の首が舞って、地面を転げて、その首を笑いながら蹴るものたちを見ながら、ソレは思う。

このような愚劣極まりない行為をおこなう連中が、彼と同じ命とでも云うのか?

――何を、馬鹿なことを。

ふつふつと、自分の中で燃え上がる感情が、最初なにかソレは判りかねた。やがて、自分が奴らにしてやりたい行為のことを分析して、判明した。これは憎悪だ。憤怒だ。――殺意だ。

自分に今まで向けられていた感情を、今は晴天の広間を覆い尽くしている、蟻のような人間に注いでいた。

民衆が、処刑された元・処刑人を罵倒していた。

悪魔。人殺し。屑。

犬野郎、狂人、お前なんて人の子じゃない――。

なにを云っているのだ。その男を殺したのは、なにもここにいる別の処刑人でも、ましてや〝私〟だけでもない。お前らだ。お前らの総意が、彼を殺したのだ――。

――ある日、革命が起きた。

王は殺された。女王も殺された。公開処刑であった。

民衆は娯楽と、そして自分たちを苦しめたと想像する総ての悪徳を彼らに押しつけて、新たなる秩序の名の下に断罪し、歓喜していた。

しかし、自分たちの生活の改善を願って蜂起したものの、生活は一向に上向くことはなく、むしろ以前より困窮していく始末だ。自分たちはいったいなんのため に支配者を打倒し、無様な死をくれてやったのだろうか。この混迷たる世の中で、自分たちの幸福を願って戦ったはずなのに。

そうした不満を抱き、追い詰められ、影響を露わにするのは、社会的が地位の低い者たちだった。

その日は、街の広場で公開処刑がおこなわれていない日であった。どんな不平や不満も、自分たちを追い詰めたものたちの死によって一時、熱狂という水で洗い流されていたわけだが、それがないとあっては虫の居所が良くはない。

特に。陽が地平線の彼方に消えてからかなりの時間が経つ夜更けに、頼りない街灯の明かりに照らされた路地を肩を怒らせて歩く男三人の機嫌はすこぶる悪かった。

「なんでだ……なんで、あの王も死んだっていうのに、オレたちの生活はすこぶる不調のままなんだ。こっから先は祝福された人生が待ってるんじゃなかったのかよ」

三人の中では一番大柄な男が云った。過酷な肉体労働でもしているのか、肩幅は広く、腕の太さも少年の胴回りくらいはある。手入れもまったくされていない、単に無精で映え

放題になった髭がみっともないが、誰もそれに苦言を呈すことができないほどに凶暴な猛獣を彷彿とさせる男だった。

「仕方ないですよ。王様が死んだからって、わたしどもの仕事が楽になるわけじゃないんですからね。王様が死んだら、そのまま食事がわたしたちの前に並ぶような、そんな単純な問題だったらよかったんですけどね」

大男の言葉に、一番小柄な男が応えた。背丈は他の男性と比べると低いが、そこはやはり大男の同業者、肉体に恵まれてはいないものの筋肉だけはついていた。それで腕っ節、喧嘩が強いなんてわけではないようだと判るくらいに、その男の肩身は狭そうであったが。

「おいおい、テメェは今更全部わかってましたって面で諦観かよ。さすが自称知性派はご慧眼の持ち主なんだなぁ、ええ?」

最後のひとり、眉が薄いせいか眼窩の骨が目立つせいで酷く乱暴者な印象を抱かせる男が、小柄な男を睨み付けた。先程からずっと眉間には皺が寄っていて、眉がなくても男が苛立っていることは誰から見ても明らかだった。

「そんなつもりで云ったのでは……」

「じゃあどういうつもりで云ったんだよ、あァ?」

「ったく、うるせぇぞ、テメエら! その顔血まみれにされたくなかったら黙ってろ!」

大男は自分の背後で騒ぎ出すふたりを怒鳴ると、たちまち静かになる。一喝に萎縮したふたりに、大男は苛立ちを隠さぬ口調で独白した。

「オ ヤジはのんだくれでよぉ、オフクロは男共に股を開く売女だった。今に至っては、お前らみたいな馬鹿な奴らがオレの後ろで騒ぎたてやがる。ホントに、うまく いかねえ……。王とか、女王だとか、あのときの……そうだ、陰気な処刑人が死んだときみたいな……大笑いできる見せ物がないってのも、おかしな話だ、 よ!」

大男は足下に転がっていた石ころを蹴り飛ばした。カンッ、と耳に刺さる音を立てて石畳の上で跳ねた石ころは、誰かの足に当たって地面に落ちた。

「お?」

大男は声をあげた。その街灯の明かりが途切れる境界線に、この中の三人の誰よりも小柄な女の子が立っていたのだ。

奇妙な少女だった。

黒いドレス。それも、お城に住んでいる人間が着ていそうな――ほとんど男の偏見であったが――豪奢なフリルをあしらったものを着ていたのだ。黒を基調にし て、白いフリルに飾られた衣装は影絵のようなコントラストを作っている。もしかしたら、このまま歩いていては気付かずにぶつかっていたかもしれない。

男たちのそこそこに長い人生の中で、その服装は見たことがなかった。自分たちがこの国でふつうに生活していては、お目にかかることはない。しかし、他国の人間が革命をおこした最中にある国へと足を伸ばそうなどと酔狂なことを考えるものだろうか。

自分たちが立ち入れない場所といえば、この国ではお城しか考えられない。つまり、あの少女は――処刑されるのが怖くて、逃げ出した王族、あるいは貴族の人間

なのだ。

そうとわかると、まず大男がその髭だらけの口の端を持ち上げた。笑ったのであろうが、端から見れば獲物を前にして牙を剥いた獣にしか見えなかったし、事実大男は少女を獲物と見ていた。

街灯の明かりが届く限界にいるため、少女の姿は曖昧にしか見えず、躯の輪郭もふわふわとした衣装のせいで判らない。けれど、その顔がとびきりの上玉であることだけは目聡く把握していた。

成熟した女性のような情欲を抱かせる顔つきではない。躯の方も、貧相なのは脱がせなくても判る。けれども、ある程度の幼さを残した少女だけが持つ、年頃の危うさ――脱皮をしようしている蝶のような、触れては無くなってしまいそうなバランスで保たれた色香があった。

特に、大男は少女と同じくらいの年代のときはいつも両親にこき使われて労働を強制されていた。とてもではないが、異性と懇意になる余裕などなく。娼婦を抱いても、若い肉体への憧憬が常に胸の中で燻っていた。

だからこそ、その少女は大男にとって、即獲物と判断されたのだ。

大男は他の男たちの倍はあるのではないかと思う歩幅であっという間に少女に近づくと、その肩を掴んだ。あと少し強く力を入れれば肩をもぎ取ってしまえるのではないかと思うくらい、少女は大男と比べると小さかった。

「こんな夜中に街を出歩くとは良い度胸じゃねえか。それとも、箱入りのお嬢さんは夜の街の礼儀もしらねえのかい?」

「兄貴ー、そんな餓鬼になにするつもりなんです?素人娼婦潰したみたいにすぐ壊れちゃいますぜ」

「馬鹿、それがいいんだよ。それにな……何事も、新鮮さってのは大事だ」

「そいつァはまったくもって真理ってやつっスね」

ふたりは下品に笑った。夜の街に、それが染みいって消えていく。人通りのまったくない夜だった。誰にも邪魔されることはない。もっとも、貴族の娘が乱暴されるのを止めるような者が、この国に今もいるなんてことはないだろう。

大男と眉無しが少女の腕を掴んで、強引に路地裏へと引きずり込む。それを見て困惑気味だった小柄な男は、仕方なしにふたりの後に付いていった。

その間、少女はずっと無表情に男の下卑た表情を見つめていた。

街灯の明かりがまったく届かない路地裏は、天に輝く月明かりすら差し込まない。

それでも、夜目に慣れていた三人の目は、至近距離なら少女の姿 を捉えるのに支障はなかった。顔と白いフリルだけが闇の中に浮いているように見えるのを小柄な男は不気味と思い一歩退いたが、他のふたりは完全に火がつい ていた。興奮したふたりは、目的以外の感覚が完全に鈍化していて、気付かない。広場で公開処刑に熱狂していたときのように、ふたりは高ぶっていた。

「へへっ、怖くて声も出せないってか。出しても誰も来ないだろうがな。お前が今も着てる服がオレたちの犠牲の下で作られてることの傲慢さの報いってやつを、たっぷり躯で教えてやるよ」

よく見

ると、少女の服は所々はだけていた。脱がせ方など判らず、元より破くつもりだった大男は思いきり引くだけで上半身のドレスが脱げたことに驚く。まさ か、もう既に誰かの手で汚されていたのだろうか。あり得ないことではない。むしろ、こんな少女が歩き回っていれば、当然といえた。

誰の手にも触れていない果実を貪る――その想像に胸を躍らせていただけに、別の男によって弄ばれた後というのは酷く落胆した。それでも、少女は魅力的だった。止める理由はない。

暗い路地裏で露出された胸は、予想通り薄かった。ふっくらと膨らんだ胸は発酵を始めたばかりのパン生地のようで、柔らかいが膨らみはたいしたことはない。けれど乳首の淡い色も、肌の白さも、男慣れした娼婦とは比べものにもならない背徳感を抱かせた。

大男は少女の黒髪の上から頭を掴んで、ぐいっと自分の股間へと顔を近づけさせた。下着ごとズボンを降ろすと、刺激臭を放ちながらもぱんぱんに膨らんだ肉棒が少女の頬を叩いた。

その肉棒は、大男の体格と合ってふつうの男のものとは一回り以上も大きかった。女性の手首くらいの太さはある。それはもう性器というより、女性にしてみれば凶器だった。

「ここのところ風呂なんて入ってねえからな……まずはお前の口で綺麗にしろ」

少女は黙って、大男の陰茎を見つめていた。大男が自慢する一物に度肝を抜かれたのか、それとも、なにをすればいいのか理解していないのか。

大男は焦れて、少女のぷにぷにと柔らかい唇を親指でこじ開けて、無理矢理陰茎を突き入れた。上顎の凹凸を亀頭がなぞり、裏筋をなぞる舌を押しのけながら喉 の奥を突くと少女が初めて呻き声を上げた。口が裂けそうなほど大きなものを銜えさせられた少女は今にも顎が外れてしまいそうで、目を大きく見開いた。

「うっ……っっっ……」

少女の反応に気をよくして、大男は少女の黒髪を掴んで無理矢理引くと、腰を思い切り少女の美貌に叩きつける。

「ふっ!?」

悲鳴を喉の奥で上げる少女に、大男は嗜虐心を煽られた。陰茎は、少女の口の中で今も大きさを増していた。

「ほら、綺麗にしねえか!」

大男は何度も少女の顔に腰を振った。

真っ赤に膨れあがった亀頭が少女の涎を絡みとって、じゅっじゅっと上顎にこすりつけられる。何層にも重なった垢が少女の口を汚し、赤々とした舌は大男の裏筋を強制的に舐め上げさせられる。

「んんっ! じゅ……ふう……んぐっ、んんんっ」

少女の口の中は一言でいってしまえば、これまで大男が相手にしてきた娼婦など比ではないほどにいやらしく、心地よく、刺激的にペニスを舐めあげた。

幼気な、そして憎き貴族の娘であるからだけではない。この少女の口は、まさしく大男の精液を搾り取るために作り上げられた産物のようにペニスに纏わり付いていた。

大男はいつの間にか息を荒くしていた。快感が腹部にこみ上げてくる。

もう我慢できなかった

。

少女の頭を両手で掴み、ぐっと腰を奥まで押しつける。喉の奥の奥へと思い切り突き入れ、少女が反射的に大男のペニスに歯を立てるが、唇に親指をねじ込んでそれを押しとどめた。

「ぐ……出るぞォ!」

猛獣のように咆えて、大男はペニスから精液を噴出した。

どくんっ、どくどくっ、どくんっっ!

がくがくと腰が震えるほどの快感が大男の下腹部を走り抜けた。

何度も震えながら、数週間にわたって発散していなかった精液が少女の細い喉に直接流し込まれる。

「あ……うううう……っ、んー! んー!」

小刻みに震える大男のペニスのように少女の躯も驚きでまた震えた。大男から逃れようとするが、少女の腕力では屈強な躯を一ミリたりとも押しかえすことができない。

「ああ、ぐう……全部飲み干せ! でなけりゃ喉に詰まって死んじまうぞ?」

にたりと笑って、大男はまだわずかに射精しながら脈動するペニスで少女の喉を擦った。

「んん……ん、んん……んくっ、んくっ……」

何度も少女の小さな喉が上下する。それでも、ゲルのように粘性の高い大男のはき出した精液を喉の奥に出されたのでは少女には飲み下せなかった。

大男は少女が窒息しそうになる寸前で陰茎を抜くと、少女は咳き込みながら自分のドレスの上に精液をはき出した。

「けほっ、けほっ!」

どろりとした白濁が少女の口から流れて黒いドレスを白く彩る。少女を犯した実感が大男を高ぶらせた。

「兄貴、早すぎですよ。こんな餓鬼に」

「うるせえ、お前もやってみろ……こいつは魔性だぜ……」

大男のペニスは少女の口に精液を流し込んだばかりにもかかわらず、涎と精液で濡れた赤黒い姿で天を指していた。

元より、一発程度で満足するような男ではなかったが――全然、収まらないのは初めてだった。

大男は路地裏に座り込むと、咳き込む少女の腰を掴んで自分の下半身の上までもってきた。咳き込み、まだ虚ろな目の少女のスカートを掴み、はぎ取る。ボタンでも千切れたのか、スカートはあっさりと脱げ、まだ毛も生えていない無垢な下半身を獣の前に晒させた。

「おお……」

思わず声を洩らす。つるりとした卵のような下半身と、小さな突起に、亀裂から覗くわずかな赤み。

大男は生唾を飲んでいた。これは、熟れた女の性器よりも、ずっと淫蕩だ。

ペニスははち切れんばかりに大きくなっている。大男は少女の腰を掴んで浮き上がらせると、屹立したペニスに宛がった。

入り口に亀頭を押しつける。どう見ても少女の躯に入る大きさではない。けれど大男は躊躇せずに力を込めた。ずるりと、亀頭が小さな穴に力尽くでねじ込まれた。

「あ――!?」

びくんっ、と一際大きく少女の躯が跳ねた。亀頭が入っただけだというのに、それでも小柄な少女の躯には大きすぎた。

「まだ頭が入っただけだぞ? たっぷり味わえ……!」

大男はその反応に気をよくして――一息に少女の躯をペニスに打ち下ろし

た。

ずんっ、と少女は下半身を貫いた槍の衝撃で、ずっと胡乱だった目を見開く。少女の腹部は見ただけで判るくらい、大男のペニスが存在を主張していた。

「おお……っ」

大男はペニスを締め付ける膣の快感に声を洩らす。

膣は大男の一物を押しつぶそうとするほどに密着し、挿入の際にそのひだで亀頭をなで上げた。予想外に愛液でたっぷりと濡れた少女の未熟な性器は、それだけで大男を絶頂させるところだった。

ぐっぐっ、と動かさなくても何度も膣が収縮し、ペニスを刺激する。それだけで大男は亀頭で押し込んでいる子宮に精液をぶちまけてしまいそうになる。

「ぐっ、そんなみっともない真似してたまるか!」

大男が少女の腰を掴んで浮かせると、また玩具みたいに腰へと落とす。少女の体重を乗せたピストンがまた少女の子宮を突き上げた。

「うあっ! ……あああっ」

「見た目と違って煩く鳴くじゃねえか、そんなにオレのが良いか、おい!」

大男は少女の躯をくるりと半回転させると、地面に四つん這いにさせた。そのままバックで少女のお尻に腰を叩きつける。ピストンする度に、赤い血が流れた。それは破瓜の血なのか、それともあまりに大きい陰茎故に性器が裂けたのか。

亀頭はぐちゅっ、ぐちゅっと膣内を何度も突いて竿は少女の柔肉が丹念になで上げる。大男は全財産を払っても買えないような高級な布のように白くなめらかな少女の背中に涎を垂らす。そして乱暴され赤くなっている少女のふっくらとしたお尻に腰を叩きつけた。

そのたびに少女の性器は年らしからぬいやらしいぐちゃぐちゃとした音を立てて、男のペニスに蹂躙される。

「ああっ、あ……ああっ……!」

「おおおおおお、おおおおおお!」

大男は咆えて、ぱんっぱんっぱんっと叩き込む。

もう再度の射精感を押しとどめることは出来なかった。

腰を引く――亀頭のエラをずりゅずりゅっと膣が舐めて、大男は達した。少女の腰を指が食い込むほど掴んで腰を押し込んだ。

――びゅっ、びゅる――っ!

肉棒が爆発して、そんな音が少女の肉越しに聞こえてきそうな勢いで精液を吐きだした。躯の中身ごと総て捻り出そうな射精感が大男を襲った。

がっちりと大男の汚い剛直を銜え込んだ小さな性器から、精液が勢いよく噴き出した。少女の痩躯には大男の欲望はあまりにも大きく暴力的すぎた。

「あ、はあ……っ、んあ……」

ぐったりと上半身を地面に横たえて、少女は未発達な胸を上下させていた。

大男は乱暴に陵辱された少女よりも疲労していた。睾丸から精液を吸い出されただけではなく、体力まで少女の中に放出してしまったような錯覚すらした。これまで何人かも覚えていない量の女と寝てきた大男であったが、この少女の性器の快楽はそれらとは桁違いだった。

しかも、大男の肉棒はまだおさまらず、ぱんぱんに腫れ上がっている。鋭敏になった神経をひくひくと圧迫する少女の性器のせいで萎える

ことさえできない。

「な、なんて名器だ……」

赤くなった少女の丸々としたお尻と接合部をマジマジと見る。未成熟な、けれど男の味を知って女にさせられた少女の躯は、再び大男の性欲に火をつけた。

ゆっくりと腰を引き、大男は思いきり腰を突き出す。

「ひゃっ」

大男の手では片手で持ち上げられそうなほど小さな躯に暴力を叩きつける。陰部から泡立った精液と愛液が掻き出され、少女の躯は意志とは裏腹に大男のペニスを受け入れさせられていた。

三回戦に突入した大男を見て、眉無しの男は笑った。

「大げさだなァ、兄貴は。そんなにきつめが好きなんすかィ? こういう小綺麗な子供よりも、胸のでかい女の方がこっちとしては好みなんすがね……お?」

眉無しが片方の眉を持ち上げる。よろよろと上半身を起こした少女が、バックから突かれながらも眉無しの下腹部に顔を寄せていたのだ。

にやりと眉無しは笑って、ズボン越しにはち切れんばかりになっているペニス突き出すと、少女はたどたどしい手つきで眉無しのズボンを脱がせた。

「なんだ、そんなに気持ちいい理由がわかりましたぜ。こいつ、見かけと違ってこういうことに手慣れてやがるんだ。それとも、夜の礼儀ってのを教え込まれたのかな?」

少女はふわふわとした手でペニスを握ると、亀頭をぺろりと撫でた。ぴくっと反応するペニスを見つめて、少女は目を細める。

つい先程まで軽口を叩いていた眉無しは背筋にぞくりと走るものを感じた。とても少女がするような目ではなかった。あまり色気があって――自分の欲望を総て見透かされているような錯覚を抱かせる。

「あむ……」

少女が口を開けて、眉無しの赤い肉の塊を口に含んだ。ちろちろと口の中で尿道を舐めると、眉無しは反射的に腰が引けた。けれども、少女は腰が下がった分だけ身を乗り出して、そのペニスを離さなかった。

「うおおおっ」

大男のペニスを精液まみれの下半身で銜えたまま、少女は銜えた陰茎を根本まで簡単に食べてしまった。頬をすぼめて、口の中の柔らかい肉で茎を締め付けて、舌で亀頭の下の裏筋を丹念に舐めあげた。

ぐちゅ、ぐちゅっ、じゅるっと、下品な音を隠しもしない。上品な姿と裏腹の淫靡な振る舞いに男の中で急速に射精の欲求が高まっていく。

「お、おい、ちょっと待て。やめろっ」

「ん……んんっ……ふ……っ」

少女は聞こえていないのか、無視しているのか。銜えたペニスは離さない。むしろより一層激しくフェラの勢いを高める。じゅ、じゅじゅじゅ、と高まるテンポに、男は意識を奪われた。止めようなどという考えが吹き飛んだ。

混みあがる快感に、男は下腹部をみっともなく突き出して――びゅくっ、びゅくっ!

陸に打ち上げられた魚のように背筋を振るわせて、男は溜め込んだ白く濃厚な精液を少女の口内に洩らした。

「……んくっ」

さっき大男の精液を飲み下すことができなかったのが嘘のように、少女は

新たな精液を唾液で攪拌すると総て喉に流し込んだ。

ペニスに纏わり付いた精液一滴惜しむように吸い付いて、眉無しに追い打ちの快感を与えながら、少女は男の陰茎を悩ましげな吐息と共に離れた。

亀頭と唇の間に出来た唾液の糸を指で払うと、口元についた精液を拭って舌で舐めとる。

「お、おおおおおおっ」

大男が三度目の絶頂を迎えていた。陶然としただらしない顔で、大男は自分より一回りも二回りも小さい、子猫のような少女の性器に欲望を流し込む。いいや、吸い取られている。

犬のように男たちに犯されている体勢でありながら、少女はいつの間にか男たちを手玉にとっていた。

少女と、唯一この狂乱に参加していなかった三人目の男の目があう。少女の目は、やはり表情を写していない。性の興奮に身を焦がしているわけでもなかった。 けれど、そこには憎しみの感情が見え隠れし――それは普通とは違う妖しい煌めきとなって、男たちの目を釘付けにして離さない。

矮躯の男はまだなにもされていない状態でありながら、あることをこの場の誰よりも強く理解していた。

路地裏の暗がりに転がった、人の躯を見つけてしまったから。それは水分を抜き取られたように渇いていて、惨めに下腹部をさらけ出して死んでいる誰かの死体。

そうして、ああ、あれが自分の末路なのだと思った。恐怖におののいても、逃げることも声をあげることさえ、できない。

何故なら。本来ならば少女を犯すなどと考えられないこの男でさえ、あの少女のアンバランスな魅力に、既に虜になってしまっていた。香るほどの死の臭い。それは男たちの頭を胡乱にして――。

大男が仰向けになり、少女が大きな躯に跨る。大男に頭を掴まれればたちまち握り潰されそうなほどの体格差がありながら、もう大男は肉食の野生動物に馬乗りにされたようなものだった。

眉無しが少女のお尻を掴み、親指をねじ込んでアナルを押し広げる。そこに吸い込まれるように、いきり立った肉棒を挿入した。

また狂乱が再開する。

肉がぶつかり合い、淫らな水が音を立てる。

ここは狩猟現場。けれど、最初に獲物だったはずの存在に、獣は無惨に貪られる。そんな凄惨な、夜の食人祭だった――。

そこには乾涸らびた何かだけが残り。

そうして誰もいなくなった。

白目を剥いて動かなくなった巨漢の男を一瞥すると、少女は靴下だけになった足で立ち上がった。

ぬぽっ、と音を立てて大男の一物が下半身から抜け落ちた。硬さを失っていても、そのペニスは平均的な男性が勃起したものと同じくらいの大きさがあった。

ふらりと物言わぬ屍となった男から離れると、股と後ろの穴から白い液体が汚い路地裏の地面にシミを作った。

どれほどの間、こうして男三人とまぐわっていたのか。躯に渇いた精液と汗、涎がこびり付いていて少女は不快だった。下着をはこうと思ったが、路地裏の隅にボロ切れとなって発見されたので諦めた。

自

分のブーツを見つけると、一緒に拾ったドレス――ゴシックロリータという衣装らしいことを少女は聞かされていた――ごと身に着ける。服が汚れることを気にはしなかった。どうせ、もらい物だ。

合計四人にもなる男の亡骸を少女はもう一顧だにしなかった。平然と路地に出る。

街灯の下に、人影があった。

こんな夜更けにまた獲物が迷い出たかと少女は思ったが、胸を大きく開いた扇情的なローブを纏った女性を見て、すぐに怒りを鎮めた。

その女性は娼婦と云われればそうだったが、大きな帽子と長いローブを身に纏った姿を一言で表すなら、魔女という言葉が一番よく似合った。

魔女。――そう、まさしく、その魔女だ。

腰まで届く銀の髪は、色が抜けたなんて間抜けな想像はさせない。銀塊を熱で溶かして細工したように美しい。ここが人通りの多い時間ならキラキラと光るその 髪に手を伸ばそうとする者がほとんどであっただろう。目は切れ長で見つめられるだけで誘われているような色香があり、露わになった胸元は豊満。

少女を言葉であらわすならば幼さと成長間近のアンバランスな肢体が背徳感を刺激する抗いがたい魅了の美であり、魔女は男ならば抱かずにはいられないと躍起にさせる女性的な魅力で溢れていた。

大きな帽子を被った魔女が、少女に微笑んだ。

「どうだい、その躯の使い心地は。すこぶる良好だったろう。今の君にかかれば、男なんて猿と同じだよ。その気になれば躯ひとつでどんな権力者でも虜にできるだろうさ」

「興味ない」

魔女のつかみ所のない物言いを、少女はばっさりと切って捨てた。刃物のような切れ味だった。

「男を籠絡して、混沌に落ちる様を眺めるのも遊びとしては楽しいものだと思うけどねえ。いやしかし、キミがそれほど美しくなるとは私としても予想外だったよ。純粋なモノほど、見た目に現れ易いということかな。キミほど美しく洗練されたモノは見たことがない」

少女は魔女の会話に付き合うつもりはなかった。自分に躯を与えてくれたことには感謝しているが、わざわざ恩を返そうとは考えていない。何故なら魔女はおの れの娯楽のために少女を少女たらしめたのであり、そこに利害があるのなら、特別、少女から何か恩を抱く必要はないと思ったのだ。

「自分では判らないけど、その美しさがわたしの役に立つのなら――好都合だわ」

「へえ、本当にやるつもりなのかい。キミは」

魔女は自分が少女と邂逅した日のことを脳裏で再生しながら、云った。

「あの処刑人の復讐を。――処刑道具であるギロチンのキミが」

少女は黙っていたが、沈黙は即ち肯定だった。

くくっ、と魔女は喉を鳴らして笑う。

「自分の手入れをしてくれていた処刑人が、自分を使って殺された。その復讐をしようとは畏れ入る。素敵に一途だ。しかしだね、私は判らないのだが、キミは誰に復讐をするつもりなのだね。さっきの男たちは処刑人の死に直接関わったよう

には見えなかったのだけど」

「復讐の相手? わかりきったことね」

少女は憎悪を込めて、うそぶく。

「わたしの復讐する相手は〝この国の総ての人間〟。この国自体がわたしの敵。――わたしは彼を殺した総意に報復する」

広場の熱狂が少女の裡で蘇る。

誰もが、何もかもが、処刑人の男の死を望んでいた。頭のネジがとんでいるみたいに喚き散らして、ギロチンである自分の刃が震えるほどに叫ぶ。あれは狂気の嵐だった。

彼らは直接殺していない? なんてことをいうのか。人の死に興奮し、狂い、望んだのなら、彼らも等しく殺人者だ。少なくとも、処刑道具として産まれ、人間のエゴで人を殺し続けてきた少女はそう確信していた。

「それにあの大きな男は、あの日、彼の生首を持ち上げて石畳に叩きつけていたの。額が割れて血が流れていたわ。そんな人を見つけたら、もう殺すしかないでしょう?」

「ほうっ、では何故わざわざ男たちに快感を与えて殺したんだい? キミならもっと効率的に殺せるじゃないか。慈悲のつもりかい?」

「慈悲?」

少女はそのとき、初めて笑った。暗い暗い、井戸の底のような笑み。

「まさか……。ギロチンは、人を楽に殺してあげるための人道的な処刑道具として作られたんだから……。あっさり首を狩っちゃったら、苦しくないでしょう?」

そうだ。自分が処刑人を殺す道具として使われたことに唯一感謝することがあるなら、彼を苦しませずに逝かせてあげられたことだ。

「それに、快楽は……一度与えられた至福は、やがて来る絶望を引き立てるもの。わたしが彼という幸福を奪われたときのように、快感が絶望へと変わる感情の墜落――それを味わわせることなく殺すなんて、わたしにはできないわ」

少女が口数も多く、滔々と語った内容は魔女の心を満足させた。喉を鳴らして笑った魔女は、夜闇の元で手を叩いた。

「すばらしい! それでこそ、だ。見せてもらおうじゃないか。キミの人と国ひとつを堕落させる復讐を。しかし、それならキミにも名前がいる。そうでなくては、存在としての重みが違う。人もモノも名を持つことで存在として一段強くなるのだよ」

「名前……?」

自分の名前。そう云われても、少女は断頭台。人を殺す道具としての名前はこれだけで充分だった。けど、そうだ。少女の脳裏に引っかかっているものがある。それはいったい……、と引き出そうと悩む少女を尻目に魔女はいった。

「よし、キミの名前はギヨたんだ」

「…………はっ?」

少女は目を丸くした。人としての躯を得てからの少女の表情では、とびきり間抜けな顔になっている。

「なんだい、そんなに私を見て。そんなに気に入ったかギヨたん。良い名前だよギヨたん。うん、我ながら素晴らしいネーミングセンスというやつだ」

「…………」

「どうした、ギヨたん。感動で声もでないのかい」

「その呼び方をやめないと真っ二つにしてやる」

溜息をついて少

女は魔女に背を向けた。

「アンナマリア」

「うん?」

「アンナマリア――そういえば彼はわたしをそう呼んでいた」

処刑道具に聖母の名前。そうだった。寡黙な男だったけれど、彼はロマンチストだったことをアンナマリアは思い出した。

街灯が転々と続く、どこまでも続いていきそうな真っ暗な路地をアンナマリアは歩き出した。

名前のことを意識したら、洪水のように処刑人のことが脳裏に浮かぶ。そして、それがもう二度と手に入らないことに気付く。

ああ、そうか。と深い闇を睨んだ。

ここから、わたしの復讐が始まるんだ――。

序章/了魔女とは、その名の通りに魔法を操る女性のことである。けれど、魔法使いではない。魔女と魔法使いを区別する最大の要因は悪魔と契約したか、そうでないかである。

魔法使いは一概に悪しき存在とはされない。もちろん、自我を持っている生物であるから邪念を持った者もいるだろうが、それはただの人間とて同じことだ。一方、魔女の全員は悪魔との契約を結んでいる。彼らの交換条件を受け入れているのだから、それは間違いなく人に仇をなす。そのために、魔女狩りが各地で勃発 したのである。

何より、人は魔女に恐怖していた。実際に魔女を目にした者は少なかろうし、実在を信じぬものもいる。だが、魔女の恐怖とは常に身近なところにあった。

「――ふむ」

自宅の壁に寄りかかり、窓から日中の人通りを眺めている銀髪の女は、紛う事なきその実在する魔女の証明であった。

今は魔女のトレードマークたる両手で抱えるくらいの大きなハットを帽子掛けに預けて、悩ましい胸を押し上げて腕を組んでいる。

断頭台を人に変えてしまった、この魔女の尋常ならざる力は、やはり人が見れば畏怖する対象になるのも納得であった。

「いよいよもって、騒ぎになってきたね。理由のわからない結果による不安が、街の中に溢れている。この押し殺したようなざわめきは、火薬庫牢獄への襲撃による革命を控えていたときを思い出すよ」

唇の端を持ち上げて微笑する魔女に、奥の方にある扉の向こう側からの声が答えた。

「そんなこと云って、今回の騒ぎは先生の仕業じゃないですかぁ」

間延びした、甘えている猫みたいな少女の声。

扉が開く。足で扉を蹴って出てきたものは、大量の紙――ではなく、大量の紙束を抱えた女の子である。

彼女は部屋の隅で本を乱暴に手放す。人がジャンプしたみたいな地響きがして、積もっていた埃が大量に舞った。それに少女は口を押さえて咳をする。

「うひゃあ、……もうっ、先生がお掃除しないから埃がこんなにたまるんですよぉ! たまるのは性欲だけにしてほしいですぅ」

「掃除の必要性を感じないのだよ、私はね。だって、考えてもみたまえよ。私は流浪の魔女、いつここを離れるともしれない身だ。家の整理などして何になる」

「暮らしやすくなるんですってば! それに住むからには少しでも楽しく気持

ちよく生活できた方が素敵じゃないですかぁ」

「一理あるね。じゃあ言い出しっぺが頑張ってくれるんだろうね?」

「うっ、墓穴でしたかも……なに云っても先生は動かないんでしょうけど……」

にこりと魔女が微笑んだ。

「よくわかってるね。さすが、私の助手だよ、レリア・キッス」

「奴隷の間違いじゃないですかぁ?」

助手と呼ばれた少女、レリア・キッスは、露出している、まるで雲みたいに白い肩を落として嘆息した。

レリアは炎みたいな色をしたショートヘアが印象的な少女だ。炎といっても単純な赤ではない。火がもっとも情熱的に燃えるときの色は、透き通ったマリンブルーみたいな蒼である。レリアの頭髪は、赤と蒼の見事なグラデーションの幻想的な色合いだった。

服もキャミソールか、それに類したもので薄着だ。下は裾を短くつめたスカートである。激しい動きをすると中のものが見えてしまいそうだが、きっとこの少女のことだから下着を隠すようなものはないのだろう。

魔女のものぐさな態度に呆れたレリアはまた家の奥へと戻ろうとすると、タイミングよく玄関の扉がノックされた。

木を叩く小気味良いリズムに魔女が返事もせずに扉を開ける。そこには紙袋一杯にパンを抱えた金髪の少年がにこにこと嫌みのない笑顔を浮かべていた。

「こんにちは、魔女先生!今日もパンを届けに来ましたよ」

元気の良い挨拶に、魔女も歓迎するように腕を広げる。劇でも演じるような大仰な動作であっても、これが魔女にとっては自然体だった。

「おや、ジョゼフか。いつもよく来てくれるね」

「いえいえ、魔女先生は命の恩人ですから。こんなことで遠慮なんてしないでくださいよ」

「そうかい。ところで、魔女先生というのはいい加減やめてくれないかな。あんまり知られると困るんだ」

「あ……そうですね、イザベラ先生、の方がいいですよね」

「偽名だけどね。はい、いつもわざわざ来てくれて助かるよ」

魔女イザベラの言葉に、レリアは「そう思うなら自分で買いに行けばいいのに……」と呟く。わざわざ宅配してもらっているのは彼女だけなのである。

それでも、ジョゼフと呼ばれた少年は嫌な顔ひとつしておらず、はっきりとした口調で否定した。

「いえ、好きでやってることですから」

「そういってくれると胸が痛まなくて助かるよ」

ジョゼフに銅貨を渡してパンを受け取っているイザベラをレリアが胡散臭そうな顔で見ていたが、すぐに表情を切り替えてジョゼフの方へと走り出す。イザベラの躯を抱きつくように押しのけた。

「ジョゼフくん、ジョゼフくん! いつものやつもちゃんと入ってるよね」

「ぼくの作ったパンのことなら、うん、入ってるよ。でも、いいのかな。こんなのまで買い取ってもらって。ぼく、まだ見習いだし、恥ずかしい話だけど美味しくないよ」

ジョゼフはパン屋に住み込みで働いている少年で、熱心な働き者として客からの評判はよかった

。屈託のない芯の通った性格と子供っぽい笑みのために、今では パン屋の看板娘ならぬ看板男と云われるほどである。欠点をあげるなら、パンを焼くのがお世辞にも上手ではないことだった。

「ううん、いいの。あたしはジョゼフくんのパンが食べたいの。これからも一杯もってきてよ?」

「そう云ってくれると作ってよかったって気分になるね……。今度はもっと美味しくできるように頑張るよ。それじゃあ、ぼくはこれで!」

魔女イザベラに小さく頭を下げると、ジョゼフは家に背を向けて小走りに大通りへ消えていった。

ジョゼフの背中が人混みの中へ完全に消えるまで、レリアは恋い焦がれる乙女の顔でじっと見つめていた。イザベラに抱きついたまま、見た目に合わぬ悩ましげに息をついた。

「はあああ……美味しそうだなあ」

目はパンに――ではなく、ジョゼフが去った方に向いたままである。

「先生ぇ、ジョゼフくんはきっと美味しいですよぉ。食べていいでしょう?」

「駄目だ。さすがの私も自分の助けた相手が片手間にあの世へ送り返されるのは黙ってられないぞ。キミはパンでも食べてなさい」

「ふがっ」

パンを口の中に突っ込まれて、レリアは呻いてイザベラから離れる。そのパンは不格好でお世辞にも綺麗な見た目とは云えなかったが、レリアはそのままパンを平らげてしまった。

「うーん、いつ食べてもジョゼフくんのパンは不味いなあ」

言葉とは裏腹にレリアは満面の笑顔である。

イザベラは机の上にパンの詰まった紙袋を置くと椅子に躯を預けて、レリアの方に皮肉めいた笑みを向けた。

「レリア、キミは社交辞令をよくわかってるんだね。関心するよ」

フランスパンを小さく千切って口の中に放り込む。今朝焼いたばかりのパンは表面こそ硬いものの香ばしく、反面、中身は柔らかい。スープにつけて食べると 益々味が引き立つだろうが、イザベラは料理をするのが好きではなかったし、レリアにとっては本来の食事とは異なる代換え行為に過ぎなかった。

「へ、社交辞令なんて云ってないですよぉ? あたし、ジョゼフくんの前でこのパンが美味しいなんて一言もいってないですもん」

「余計タチが悪いと思うよ。それが不味いのには同意だけど」

「あ、でも、あたしはこの味の方が好きなんですよ?人が美味しいと感じるものより、こういった不味いものの方が口にあいますからねぇ」

「なら美味しいって云ってあげたらいいんじゃないかな」

「やだなぁ、そんなこと云ったらジョゼフくんが勘違いして色んな人に食べさせちゃうじゃないですかぁ。そうしたら、後で悲しむのはジョゼフくんですよ?言葉の意味は気をつけないといけないのです、混乱しちゃいます」

「笑顔で不味いというのも充分に人を混乱させるよ」

フランスパンを半分ほど食べてから、イザベラはまた外を見る。行き交う人を目で追って、ジョゼフがやってくる前の話を振り返った。

「さて、ギヨた

んはこれからどうするかな。このまま国の人間を皆殺しにできるのなら、見物なんだけどね」

「そのことなんですけどぉ、その、ギヨたん、ですか?面倒なのに目をつけられてますよ」

「ほう、やはり彼女たちのシマを荒らしているからかい。まるで狩り場を取られた獲物だね」

「そんなに暢気でいいんですか? きっと殺されちゃいますよ」

「今のままなら――そうだろうね。あっさりと負けてしまうはずさ」

剣呑な指摘に、イザベラはあっさりと頷いた。

「だ けどギヨたんはね、その辺にいる悪魔だとかの範疇からは逸脱しているよ。なにせ元が無機物だ。どこかの国では長い年月を経た道具には魂が宿るとされている が、ギヨたんは誕生してまだ数年。この時点でも既にギヨたんが並外れた素質を持っていることは明かだ。私が手を加えたといっても異常だよ、これはね」

「でも、今は人間の姿って話じゃないですか。そんなに凄いとは思えないけどなぁ」

「なんだい、もしかして私が褒めるものだからって、嫉妬してる?」

「し、してませんよ! どうしてそうなるんですかぁ!」

むっ、と顔をしかめて、パンを総て呑み込んだレリアは小走りに玄関へ急いだ。

「どこに行くつもり?」

「ご飯です!」

無神経に訊ねてくるイザベラにレリアは肩を怒らせて答えると、扉を吹き飛ばす勢いで家を飛び出していった。

「やれやれ。……殺さないように気をつけたまえよ、なんて、もう遅いか」

自分の言葉をさして気にした様子もなく、イザベラは食事に戻ることにした。

*ギヨたんこと、断頭台アンナマリアは夜の街で途方に暮れていた。

石畳をブーツで叩いて歩きながら、街を見渡す。

陽が落ちて久しい時刻、街灯が転々と道を照らしている。小さなスポットライトが列を作っているように見えた。アンナマリアが道を歩くと何度も何度もその灯りに照らされて、まるで劇の主演女優のようである。

ただし、他の出演者は誰もいない。

「……誰も、いない」

夜の街には人通りがまったくなかった。

闇に覆われた時刻なのだから、人が少ないのは当然である。それに不思議はなかったが、まったくいないのだけは異常だった。夜は太陽の代わりに月が昇る。そうして月の魔力に誘われるように、娼婦と男たちが街でうごめき始めるのだ。

なのに、今日と来たら、この有様である。

いや、以前よりこの兆候はあった。あまり気に止めていなかったが、日に日に人通りは少なくなっていた。

「わたしの、せいかな」

アンナマリアは連日、夜に出歩いた。朝には広間で断頭台に姿を戻している。それは、自分で人を処刑させるためだ。何故なら、アンナマリア以外の処刑機具で はいたずらに人を痛め付けた末に殺してしまう。苦しめずに人を処刑する思想で作られたアンナマリアは、それが許せなかった。

どうせ、全員苦しめて殺すのに――とアンナマリアは自分でも不思議に思うものの、性分なのだか

ら仕方ない。きっと、自分の作った人たちの意志がそうさせるのだろう。

なので、自然と出歩くのは人が寝静まった夜になってしまう。アンナマリアは知らないが、街では夜の衰弱死体の大量発生で話題は持ちきりになっていた。さすがに毎晩そんな死体が見つかっていれば、怖れて外出を控えるのも当然だった。

街灯の下で途方にくれた。風評を気にしない無神経さか、よっぽどのもの好きでなければ通りがかることなどない。これでは目的が果たせない。いっそ、家に乗り込んでみようか。そうすれば、人の数に悩まされることもないし――。

そこで、アンナマリアは見つけた。

風評を気にしない無神経さを持っていて、もの好きな男が通りかかるのを。

金髪碧眼の、この国の者とは少しばかり顔の彫りも違う少年だった。彼の名は、ジョゼフといった。

かつては勉学や剣の道に励み、今はパン屋に住み込みで働いている快活な少年だった。それはもう脳天気だと云われるレベルであったが、本人は気にしていない。元気なのは、良いことだ。が彼の座右の銘であった。

客商売故に、ジョゼフも夜の街に関して流れる噂話は耳に挟んでいた。怖くなかったのかといえば、怖かった。けれど、遠くにある仕入れ先まで行って、小麦粉 などの買い取りの交渉をおこなわなくてはいけなかったのである。店主たちは夜の噂を懸念していたので、代役をジョゼフが買って出たのだ。

この分だと、無事に帰れそうだ。とジョゼフは胸をなで下ろす。誰もいない街を歩くのは、さすがに元気が取り柄のジョゼフといえども薄気味悪かった。

安心した矢先に、街灯の下に誰かがいることに気付く。

思わず足を止めて、小さな影を凝視した。

「女の子?」

思い浮かべていた人を襲う悪魔みたいなイメージが一気に霧散して、ジョゼフは肩の力を抜いた。

こんな夜更けに出歩く女の子がいるのも奇妙な話だ。首をかしげるが、深く事情を詮索するようなことはしなかった。ただ、こんな時間に子供が出歩くのは危ない。

「おーい、こんな時間に出歩いていたら危ないよ。最近、夜は特に物騒なんだからね」

声をかけるとジョゼフのことを女の子は見返した。けれど、彼女はとてとてと路地裏へと入っていく。

「あっ、ちょっと!」

ジョゼフが声をあげて、女の子が消えた方へと近づいていく。

「これじゃあ、ぼくが不審者みたいじゃないか……」

見間違えられてないといいなあ、と期待しつつ、路地裏を覗き込む。黒く煤汚れた地面に一歩踏み込むと、ジョゼフに背中を向けて闇に同化している女の子がいた。

黒いドレスは、ジョゼフも見たことはない。ふわふわしていて、気持ちよさそうだ、が第一印象だった。

女の子が振り返る。さらさらと黒髪が川となって空を流れた。ジョゼフは揺れる髪を自然と目で追っていた。この地域では滅多に見ない髪の色で、服装と相まって、その女の子は闇の妖精といわれても信じてしまいそうだ

った。

髪に見とれていて、ジョゼフは女の子が自分をじっと見ていることに遅れて気付いた。顔を近くで見てみると、自分よりもずっと幼い顔立ちをしている。小さな女の子に見とれていたことに恥ずかしくなって顔を羞恥で熱くしながら、なんとか注意の言葉を絞りだした。

「えっと、夜に出歩くのはやめておいた方が良いよ。ただでさえ、最近は恐怖政治で騒ぎがすごいから……あっ、いや、こんなこと云っちゃいけないんだけど。……それとも、帰れないのかな?」

家を無くしてしまった子だったら、帰れというのも酷な話だ。ひとりで悩んでしまうが、女の子がなにも云ってくれないのだから、しょうがない。

ただし、口を開いていない間も、女の子はずっとジョゼフの顔を見ていた。

「あの、ぼくの顔がどうかしたかな?」

「アンナマリア」

「え?」

「わたし、アンナマリア」

「あ、ああ、きみの名前か。良い名前だね。マリア様のお母さんと、その娘の名前か。きっと、この名前をつけてくれた人は素敵な人だったんだね」

素直な感想をジョゼフは口にした。この思ったことをすぐ口にしてしまうところが、今だに少年と呼ばれてしまう一番の要因なのかもしれない。けれど、嘘のない笑みは人を信用させるものだ。

しばらくアンナマリアはそのままじっとしていたものの、突然地面を蹴って駆けだす。

そしてジョゼフに思い切り体当たりをすると、そのまま唇を奪った。

勢いのままに唇を奪われ、ジョゼフは押し倒された。

いきなりの行動で躱すことも受け止めることもできない。そのせいで頭を地面に打ち付けてしまったが、ジョゼフの思考を乱すのは痛みではなく唇に触れている女の子の感触だった。

アンナマリアは相手の首に腕をまわして捕まえると、深く深く自分のそれを押しつける。

赤い眼と碧眼が合う。まるで地球と太陽のような対比。

そしてジョゼフはその赤い眼に釘付けになった。赤は赤でも、これは血の色だ。血で固められた赤い宝石(カーネリアン)。見つめているだけで心奪われる背徳の色。

熱い吐息を漏らしながら、アンナマリアは舌をいれて相手のものと絡みつかせた。そのままつるつるとした頬肉を内側からなめ、歯茎をなぞり、相手の舌をついばむ。

彼女の舌がそうやって口腔を情熱的に責めると、ジョゼフは口の中が火傷したみたいに熱くなって、同時に頭がクラクラと熱に魘された。

ジョゼフの舌の裏側に小さな舌が侵入して、浮き上がっている青い血管をなで上げる。ジンジンとした快感が喉元から下半身までを駆け抜けた。

口内をいやらしくくすぐった舌が抜ける。アンナマリアが顔を離していた。

キスをされているときは近すぎて見えなかった彼女の顔の全貌が、この距離だとよく見えた。

日頃こねてるパン生地のような柔らかそうな輪郭。大きな眼とぷっくりとした唇は赤々としていて、白と赤のコントラストは彼女がこの世のものではないようだった。

アンナマリアの肩にかかっていた黒髪が流れ落ちて、ジョゼフの顔をくすぐる。その黒は闇より深い暗黒だ。

確かに黒と呼べる髪。けれど、こんな黒をジョゼフは見たことがない。知らないのに、黒と認識できる。ジョゼフは昔、自分たち人間の世界にあるものは全部模造品であり、真なる万物が存在する世界があると学んだことを思いだす。その世界にある本物の個体を知っているから、歪んだ図形を見れば間違っていると認識 できるのだ、と。

では、見たこともないはずの深いこの髪の色を黒と断定できるのは、これが本物だと云う経験にない記憶が想起しているからで――そうだ、この世ならざるものなら、この女の子の浮世離れしている美しさも道理であった。

まだ成熟していない躯でありながら、悪魔のように心を掴んで離さないのだから――。

「……あ」

ジョゼフが声をあげる。自分よりもずっと幼い少女からのキスで膨張していた愚息を、彼女が服の上から触っていた。

「ちょっと、駄目だったら……」

自分で云ってから、ジョゼフは本気で止めようとしていない自分がいることに気がついてしまった。キスのせいで酸素が不足しているからではない。ドレス姿の少女から漂う色香に期待して、はち切れそうになっている。

女性経験のなかったジョゼフは、たった一度のキスで魅了されてしまっていた。

細い指先がジョゼフの下半身の布を手慣れた動作で剥ぐ。勃起した男根がジョゼフのお腹を叩いた。

つぅ――、とアンナマリアの爪が裏筋を根本からなぞる。

「ふあっ!?」

快楽の稲妻が背筋を走り抜けて、ジョゼフは情けない声をあげてしまった。

刺激でゆがんだジョゼフの表情をちらりと覗き見て、アンナマリアは陰嚢を優しく撫でる。少しの衝撃で痛みを訴えるほどに敏感は睾丸は、快感に対しても忠実だった。まるで全身を愛撫されていると錯覚させる少女の手つきに、少年は肩をびくつかせた。

睾丸が甘やかされるにつれて、ペニスの方は激しく脈打つ。数々の行為によって破裂しそうになっているのに、直接触ってもらえていないせいで焦れていた。

物欲しげに脈動する情けない様で、アンナマリアも何をしてほしいのかを察する。男がどうして欲しいか、そんなことは連日連夜の性行で把握できるようになっていた。それこそ、本当にそのままの意味で手に取るように。

「これ、触って欲しいんだ」

アンナマリアが囁く。蔑みはなく、どちらかといえば、珍しくからかうような声音。

「ち、違っ」

「それじゃあ、このままで良いんだよね」

「それは……」

言いよどむジョゼフには言及せずに、アンナマリアは睾丸をさする手を止めない。男性器には指すら伸ばさなかった。

「あ、うあ」

「どうして欲しいの?」

「ぼくはっ、別に……」

アンナマリアは黙して語らない。無表情のまま、焦らされて切なそうにしているジョゼフを見つめるだけだった。

心を見透かすような目と

、与え続けられる生殺しの刺激が、ついにジョゼフの羞恥心を上回る。

「下を、触って」

「下って、どこ? ……足?」

「そうじゃなくて!云わなくてもわかるでしょうっ」

「ちゃんと、云って」

「……っ! ペニスだよ、お願いだから、もうっ」

「そうだよ……云ってくれないと、わからないよ?」

くすくすとアンナマリアが笑い、両手で陰茎を掴んだ。左手は亀頭に添えられ、右手は竿をゆっくりと上下させる。

これまでと比較にならない甘美な感触にジョゼフの腰が跳ねた。今までお預けをくらい、さらには女の子に懇願してしまったせいで、いつもよりもずっと快感が増幅されていた。

ジョゼフの穏和な顔立ちからは想像できないグロテスクな陰茎に、アンナマリアは息がかかる距離まで近づく。けれど亀頭はピンク色で、それが今まで自分の犯してきた男たちと違ってかわいらしかった。

アンナマリアははっとなる。憎き国に所属する男のペニスをかわいいと表現してしまって、アンナマリアは自分自身を疑った。

なにを考えているのだろう。

子供をあやすみたいな手つきを一変させて、アンナマリアは陰茎を握る手に思い切り力を込めた。

「うっ!」

突然の強い刺激に呻き声をあげたジョゼフに、アンナマリアは冷たく告げる。

「無様」

さっきまでの優しげな態度はどこへやら、小さな手は強い力で竿を擦り始めた。もう片方の手は我慢汁を亀頭に馴染ませるように円を描く。

激しい手淫に声をあげるジョゼフを無視して、アンナマリアの手は機械的にペニスを責めていた。我慢汁でぐっしょりと濡れた指先を雁首に這わせて、弾く。

「!?」

竿をしごく手はまったく止めずに、今度は親指と人差し指で作った輪で雁首を引っかけて、擦りあげる。

じゅっ、じゅっ、じゅっ、と我慢汁が気泡を作って音をたてた。

その間も、別の手が熱く滾った肉棒を扱う。ふたつの独立した手技に、高ぶっていた性欲が一気に限界を迎えた。

「う、うわあああっ」

ドクンッ、ドクッ、ドクッ、ドクッ……!

幼い手の中で欲棒が爆発した。

だが、熱く生臭い白濁とした精液を勢いよく掌に発射されても、アンナマリアは手の動きを止めなかった。

ジョゼフの腰が震えて、本来なら出なかったはずの精子がアンナマリアに飛び散った。犯しがたい黒の髪を、情欲の白濁が彩った。

何十秒もドクドクと出し続けていた射精の勢いが収まると、ようやくペニスをしごく手の動きも止まった。

容赦ない手つきに責められて息も絶え絶えなジョゼフとは対照的に、アンナマリアは息ひとつ乱していなかった。腐った下水道のぬめりのようにネバネバとした精液で真っ白に汚れた自分の手とペニスに視線を落とす。

「うぐっ!」

ジョゼフが悲鳴じみた声をあげた。

夜風に晒されていたペニスが生暖かいものに包まれていた。アンナマリアが口で銜えたのだ。

彼女の唾液が精液に濡れた肉棒を包み込んで、攪拌された

精子を小さな喉を使って呑み込んでいる。喉が動くたびに上顎と舌が性器を圧迫して、萎えそうになっていたペニスに血液が集まった。

出してから一分も経っていないのに、ジョゼフの股間が熱くなっていく。それも少女の見た目とかけ離れた振る舞いのせいだった。

ペニスにむしゃぶりつくアンナマリアの頬は赤く上気していて、口淫で夢中になっているように見えた。ぴちゃぴちゃと音を隠しもせずに、少女の舌が剛直にこびりついた精子を呑み込む。

ジョゼフの腰が自然と浮き上がった。

再びペニスに集まり出す射精感。

しかし、それが放出されることはなかった。

「え?」

アンナマリアがジョゼフのモノから口を離していた。精液の代わりに唾液漬けにされたペニスが切なげに大きく脈打っている。

不思議な顔で視線を自分の陰部とアンナマリアの顔で行ったり来たりさせるジョゼフに、アンナマリアは嗜虐的な心理を覗かせた。

「どうかした?」

「い、いや、だって、また……」

「イかせて貰えると思ってたの?」

「で、でも、あともう少しだけは」

ジョゼフは股間に広がる射精したいという欲求を少しでも誤魔化すために、足をもじもじと動かす。ぱんぱんになったペニスは胸をかきむしりたくなるほどに射精への期待で一杯だった。

情けない懇願の声に、アンナマリアは感情を窺わせない冷徹なままで、けれど声だけは愉悦に満ちている。

「自分でやればいい。わたしの目の前で」

「そんな……」

突き放す少女に抗議の声をあげるが、アンナマリアは本当にそのつもりのようで、一切動こうとしない。ジョゼフがどうするかじっと観察していた。

こんな女の子に見られてる前で、自慰をするなんて――想像しただけでジョゼフの顔は真っ赤になる。既に少女の手の中で果ててしまった事実があっても、その痴態を晒すのには抵抗があった。

ふつうなら、女の子の前で自慰なんて絶対にしない。けれど、頭がおかしくなりそうなほど陰嚢の中で精子がはき出してくれと暴れ回っているのだ。

「う……っ」

真っ赤なトマトみたいに赤面して、ジョゼフは自分の肉棒を握った。自分の手で触れたのに、それはいつもよりもずっと心地よい快感を伴って陰茎を走った。

アンナマリアの唾液で濡れたペニスを上下にしごく。彼女の口内から分泌された透明のぬるぬるとした粘液を性器に刷り込んでいるような倒錯的な気分になってしまう。我慢汁と唾液が混ざって、気泡を立てる。

息を切らしながらの醜態をアンナマリアの感情を写さない目が見つめていた。ジョゼフの目がその目に吸い込まれる。目は口より雄弁に感情を語るという。けれ ども、無口無表情な彼女の目は前述したように感情を感じさせない。なのにジョゼフは小さな女の子に蔑まれているように思えた。

少女の手よりもずっと大きな掌の中で、肉棒はさらに硬さを増して膨れあがる。

アンナマリアの視線がジョゼフの切なげな表情から、

下半身に移動した。

「オナニー見られて、興奮してる……」

「これは、その、そういうわけじゃ」

「変態」

「うぐっ」

「だって、今も手だけは止めないんだから」

アンナマリアの云う通りだった。自慰をおこなう手の上下運動はおさまるどころか激しさを増していた。

「わたしの見てる前で、出しちゃえばいいんだ」

耳元で囁かれたみたいに、その声は敏感になった神経に突き刺さり。

しごいたペニスは限界に達した。

「ううううううっ」

――ドクン! ドクンッドクンッビュクンッ!

尿道を駆け抜けて精液が噴出した。

ぐっと目をつぶって快感を受け止めるジョゼフの手がペニスを動かしてしまう。射精された白濁液が飛び散った先にはアンナマリアがいた。

アンナマリアの黒いドレスがぐっしょりと白で汚れた。胸元から、糸を引きつつスカートへ。グラスから牛乳をこぼしたみたいに、精液がみっともなくかかっている。

自分の服を汚した精液を黙って見つめる少女に気がついて、ジョゼフはペニスを握り締めたまま肩を震わせた。

「あっ、ごめん!」

ドレスに飛び散った精液をアンナマリアは指で掬いとると、なんとか上半身を起こそうとしているジョゼフを見下ろした。

「駄目。許さない」

起き上がろうとする肩を掴んで路地裏の地面に叩きつけると、アンナマリアはそのまま馬乗りになった。

痛みに目を閉じたジョゼフが呻きながらまぶたを開くと、眼前の光景に息を飲んだ。

ドレスのスカートをたくし上げて口に銜え、下半身を扇情的に晒したアンナマリアがそこにいた。

アンナマリアはスカートを口にしたまま、片手でレースのついた真っ白いショーツをずらすと、もう片方の手でジョゼフの剛直をつまんで秘所へと導く。

男の性器を受け入れられるとは到底思えない小さな亀裂と亀頭がキスをした。

「ん……」

熱っぽい息を吐いて、アンナマリアは腰を落とす。

愛液に濡れそぼっていた秘所が亀頭を呑み込んだ。

ぬるりと滑って入った少女の膣は、やはり狭い。ぎゅうぎゅうと真っ赤にふくれた亀頭を全方位から押しつぶしてくる。まるでクッションで包まれているようだった。

細い、抱きしめたら折れてしまいそうなアンナマリアの腰が落ちていくのに合わせて、幼い膣が陰茎をなで回しながら奥へと誘っていく。亀頭を、雁首を、竿と裏の筋を無数のひだにマッサージされ、今日一番の衝撃にジョゼフはたまらず声をあげた。

「あっ、あああああっ!」

二度の射精で神経がむき出しになったように敏感になったペニスから伝わる快感は、肉体的にも過酷な生活を送ってきたジョゼフすら絶叫するほどに淫蕩だっ た。しかし、連続で精液を出したペニスはすぐには射精をしない。もし一回も出さずにいれていたら、すぐに達していたことだろう。

既に達していたから雷に打たれたみたいな快感に翻弄され、既に達していたから中々射精ができない。そのふたつが合わさって、

アンナマリアの膣はまるで嵐のようにジョゼフを襲った。

ずんっ、と少女の小ぶりなお尻がジョゼフの下半身に座る。アンナマリアの小柄な躯が男を根本まで銜えていた。

スカートを噛む力が強くなり、全身から絞り出した呼気がアンナマリアの喉の奥から洩れる。

「は、ん、ああああ……あ」

ぎゅぅううう、っと膣が締まり、剛直が柔らかい肉の感触に震えた。

浅い呼吸にあわせて、膣肉が蠕動を繰り返して銜えたものを情熱的に抱擁する。瑞々しく愛液をしたたらせる性器は、肉を雁首の合間にねじ込んでは舐めあげる。亀頭の表面はまるで無数の舌が這い回っているようで。膣肉の締め付けに肉棒は押しつぶされそうだった。

少女の意志とは関係なく、その未熟な躯は招き入れた男の精を貪欲に求めてペニスに食らい付いて離さない。

汚く穢れた大男の凶器じみた肉棒で処女を散らし、多くの男たちとの肉欲にふけり続けたアンナマリアの性器は、男の肉棒を快楽に昇らせる術を刻み込まれていた。精液が全身から染みこむのと一緒に、淫らな技もまたその身で覚えていた。

男を知って淫靡に染まった少女の柔肉に、女を知らぬ少年のペニスがもつわけもなかった。

「あ、ああああああああ!」

ドプッ、ドプッ、ドクドク。無意識に少女の腰を掴んでペニスを突き入れたジョゼフは、三度目ともなるのに一向に衰えない勢いでの射精をした。背筋を駆け上る悦楽で涎を垂らしながら、アンナマリアの子宮に若い精子を流し込む。

「ふ、くっ……出てる……っ」

虚ろな目で胸を上下させるジョゼフを頬を紅潮させたアンナマリアが楽しげに見つめる。口からスカートを離して、少年の胸の上に手をついた。

「あは……まだ動いてもないのにイっちゃうなんて、早漏なんだ」

そう云って、自分の腹部をさする。中にある肉棒が未だに存在を主張している。三度もの射精で出し尽くしているはずなのに、こうしている間にも少女の膣は蠢いて萎えるさせることはなかった。

「……動くよ」

聞いているとも判らない相手に告げて、アンナマリアは獣みたいな浅い息を吐いて、腰を持ち上げると――ずんっ、と体重を乗せてペニスを押し込む。

アンナマリアが美しい黒髪を揺らしながら腰を振るたびに、組み敷かれたジョゼフは快感と苦しみの入り交じったような声を発した。

「あっ、あっ、あああ……っ」

陸に打ち上げられた魚みたいに口をぱくぱくとさせる金髪の少年の顔を眺めていると、アンナマリアの中でこれまでにない嗜虐心と充実感がわき上がる。復讐心と嫌悪感だけで男を貪っていたときとは違う、不思議な感覚だった。

自分の中に産まれたものについて、アンナマリアは深く考えられなかった。彼女もまた、自分の中で暴れる肉棒によって興奮していた。脳髄が蕩けそうになって、黒曜の目を情欲に濡らしながら激しく、より激しく陰茎を性器に出し入れする。

ぷっ、くちゅっと泡立った白濁液が掻き出され

て、生臭い鼻につく臭いが香る。汗に混じった、普段なら気持ち悪いはずの臭いが、今は興奮を助長させた。

「ふっ、ふっ、んんんっ!」

髪を振り乱して、玉のような汗を散らしながら腰を振れば、その白い肌からは性欲を刺激しそうな甘い香りが発散される。

「あはっ、またビクビクしてる……。ねえ、出したいの?」

気分が高揚しているアンナマリアは饒舌になって訊ねる。けれど、当のジョゼフはと云えば、少女の腰の動きによって与え続けられる心地よさで今にも意識を失いそうになっていた。

「答えられないの? いいよ……それでも今度はイかせてあげる」

アンナマリアの動きが激しさを増した。

ずちゅっずちゅっずちゅ! いやらしい少女の腰遣いが、肉棒を高みへと上り詰めさせ――「う、出、ぁあ、あああああああ!!」

膣に愛撫され続け、四度目ともなる射精。

アンナマリアの膣の中にドクドクドクッと、洪水のように精子が押し寄せた。なんと今日一番の異常な量の精液が子宮と膣をぱんぱんになるまで犯し、それでも止まらない射精でペニスと秘部の接合部から精液がおもらしみたいに流れ出した。

「すごい、わたしの中が一杯……」

陶然とした表情で、アンナマリアは至福のときだと云うように無防備な顔を晒す。男のまぐわいで、これほどの幸福感を味わったのは初めての経験だった。

ガクガクと全身を震わせて、ジョゼフの首から力が抜ける。あまりの快感に少年は白目を剥いて失神していた。

その頬を小さな指がなぞる。

「まだ寝ちゃ駄目……もっと、がんばろ?」

そう云って、アンナマリアは再び腰を浮かせて無理矢理起こそうと――「ちょぉぉぉぉぉっと待ったぁぁぁ――っ!」

――しようとして、夜闇に高い声が木霊した。

「はえ?」

不意打ちに、アンナマリアは彼女のイメージからでは想像できないほどかわいらしい声をあげてしまった。

その声は女の子の声で、真上から聞こえてきた。ジョゼフと繋がったまま、アンナマリアは声の主の方を見上げた。

上空――夜天にかかる満月を背後にして、大きな蝙蝠の翼が浮いている。ボロ切れみたいに解れた陰を揺らす翼、それを持つものはもちろん蝙蝠などではなかった。

人である。それも、小柄な少女だった。

一対の翼を広げて中空に浮遊しているのは、焔のような髪をした少女である。赤と蒼の不可思議なグラデーションの頭髪は風に揺られ、月明かりを受けてこの世のものとは思えぬ色彩を放っていた。オーロラを見たことのある者がいれば、まさしくそれだと断言しただろう。

健康的な色の肩を露出する下着みたいな服に、アンナマリアのドレスとは違い簡単に中が覗けそうな短いスカート。どれもが少女の性格を象徴しているようで、快活な力に溢れていた。

「正義の淫魔レリア・キッス参上! トウッ」

落下する勢いで急降下して、レリア・キッスと名乗った少女が路地裏に舞い降りた。

すたんっ、とポー

ズを決めて華麗に着地した少女は、呆然としているアンナマリアに柳眉を怒らせながら人差し指を突き付けた。

「ジョゼフくんはっ! あたしのっ!獲物っ! なんですっ!即刻離れなさーい!」

それが淫魔レリア・キッスと断頭台アンナマリアの邂逅だった。

レリア・キッスと名乗った少女に指をさされ、今まで呆気にとられていたアンナマリアはようやく平静を取り戻しかけていた。といっても、未だに下半身は男と繋がったままである。

初めて興が乗っていた情事を邪魔されて、憤懣がアンナマリアの胸の裡にわき上がっていた。レリアの背にある羽根は飾り物ではないようだし、只者でないこと は確かであったが、アンナマリアにしてみれば性行を妨害された一点のみが問題だった。そもそもアンナマリアとて只者ではない。

「……この人の知り合い?目障りだから、どこかに消えてよ」

「むっか!人の話ちゃんと聞いてました? あたしの方が先に退いてくださいっていったんですよぉ! それとも言葉がわかりませんかギヨたん」

「ギヨ、たん?」

そんな名前を口にした覚えはアンナマリアにはなく、ただしその名前で自分のことを呼ぶ者にはひとりだけ心当たりがあった。

「あの魔女の知り合いなのね」

「ええ、そうです。あたしは不本意ながらも先生の助手をしているのです。だから、貴女のこともよぉーく知ってますよ、ギヨた――」

言い終わる前にレリアは地面に伏せる。

瞬間、先程まで彼女の頭があった場所を疾風が駆け抜けた。

まるで刃を震ったような寒々しい風切り音。

レリアがおそるおそる顔を上げると、両脇の建物の壁に鋭い亀裂が走っていた。谷底のように亀裂の奥は闇が続いている。刃物でつけられたとしか思えない。け れど、その傷痕はどこまでも続いているように深い。どれほどの刃渡りがあれば、こんな痕が刻み込めるのか。それ以前に、建物を両断できる刃物がどこにある のだろうか――。

「その名で呼ぶなら、次は殺す。わたしにはアンナマリアっていう名前があるんだから」

アンナマリアがレリアに向かって細腕を突き出していた。その手は何も握っていないが、レリアは凶器を喉に突き付けられる心地だった。

「そうでしたね……貴女、元はギロチンでしたもんね」

どうしてこんな傷痕ができたのか理解して、レリアは呟いた。

そして驚きは既に消え、焔色の髪を夜風に揺らす少女の相貌には妖しい笑みが浮かんだ。

「それならぁ、こっちの方が……効果的ですよね」

レリアが地面を蹴って、アンナマリアに抱きついた。

「えっ」

ジョゼフと繋がったままで避けることもできなかったアンナマリアは抵抗できなかった。

もし性行中でなかったにしても、敵対心の感じない抱擁は避けようとすることができなかっただろう。

そのまま押し倒されて、アンナマリアの秘所からずるりと肉棒が抜けた。ずっと躯の奥で感じていたモノがなくなって物足りなさを

覚えるが、今はいきなりレリアに抱きつかれたことに脳内が一杯になっていた。

「ちょ、ちょっと、いきなり何するのっ」

「貴女がいつもしてることですよぉ?」

ゴシックドレスの裾をはためかしながらジタバタと暴れるアンナマリアの目を見て笑うと、レリアは唐突に相手の唇を奪った。

「んー!?」

女性にキスをされて目を瞠り、抵抗が止まる。男相手になら慣れたものだったが、同性――ギロチンに性別をつけるならだが――からキスをされるという状況に酷く驚いた。

先程まで男の腰に跨って腰を振っていたとは思えない初心な反応を返すアンナマリアにレリアは愉しげに目を細めると、舌を相手の口の中にねじ込む。レリアのものより幼く、小さいぷっくりとした唇の合間に滑り込んで歯茎を舐めた。

「ひうっ」

口の中に入ってきた舌の感触にアンナマリアが肩を震わせる。必死に舌で押し返そうとするが、レリアはその舌に自分のものを絡ませた。

レリアの舌がアンナマリアの舌をなめ回し、くちゅくちゅと唾液が混ざり合う。

少女に舌で舌を愛撫されて、アンナマリアは背筋に甘い刺激が走るのを抑えられなかった。背中に蜂蜜を塗りたくられているみたいな、男と躯を重ねていたときには与えられていなかった快感に痺れてしまう。

「ふ、うぅぅ……」

目を恍惚に蕩けさせて、アンナマリアは反抗の意志を手放していた。自分の口の中を犯すレリアの舌に何も考えられなくなる。

涎の糸を引きながら、レリアの顔が離れる。舌が抜かれてしまったときに寂しさを覚えたのは、アンナマリアの気のせいではなかった。

唾液まみれになった自分の唇に指を這わせながら、レリアがアンナマリアの虚ろな目を覗き込んだ。

「あははっ、お口が弱点なんですかぁ、ギヨたん? それとも、あたしのキスがそんなによかったんですかぁ?」

「ぎ、ギヨたんって……いうなぁ」

息を荒くしながらアンナマリアはなんとか言葉を返すものの、それ以上のことはできない。神経一本一本に甘い蜜が染みこんでいるようで、躯がいうことをきかなかったのである。

「そんなに甘い声で囁かれたら、誘ってるみたいですよ?女の子のキスでそこまで感じちゃうなんて、かわいいんですから」

「そ、そんなこと――ひゃっ!」

レリアが秘部に触れて、アンナマリアは無防備な声をあげてしまった。赤子の頭を撫でるような手つきで精液と愛液に濡れた女性器を撫でられて、ぎゅっと拳を作ってしまう。そのまま二本の指がぬるりと小さな性器に滑り込んだ。

「わっ、すごい。こんなに小さいのに二本も一気に入っちゃいましたよ? こんなにヒクヒクと指を締め付けて……かわいいですよ、ギヨたん」

レリアがアンナマリアの首もとに顔を近づけて、熱い吐息を吹きかけながら囁く。

「や、やっ! やめっ、そんなとこにいれないで……あうっ」

「何いってるんですかぁ、あんなにしっかりジョゼフくんのおちんちん銜え

込んでたくせに。今更恥ずかしがっちゃ駄目ですよ」

レリアの口がアンナマリアの首もとに吸い付いた。首筋を舌で舐められながら吸い上げられて、びくんっと背中が跳ね上がる。

さらに秘所に入り込んだレリアの指先が何度も出し入れされて、その度に愛液と精液が掻き出される。肉襞を内側から指先が刺激された。それは男の剛直でかき 回されるのとは違った鋭い刺激で、声を抑えることができない。まるでどこで気持ちよくなるのか知っているような指先の動きは、的確にアンナマリアの弱いと ころを責めていた。

「ほらほらぁ、気持ちいいですかぁ?」

「そ、そんなわけ、ないっ!」

「強情ですねぇ。じゃあ、そろそろこっちも触っちゃいましょうか」

今まで一度として触られていなかったアンナマリアの陰核に、レリアの親指が触れた。

ジョゼフとの性行中も刺激を受けていなかった陰核に親指が触れると、快楽の電流にアンナマリアは口を大きく開いて嬌声をあげた。

「ひゃ、あああああぅ!?」

小柄ながらも膨れあがった少女の陰核を、レリアは親指の腹でマッサージするような優しい手つきで刺激する。今まで触れられていなかった陰核は、勃起していたのに触れられていなかったペニスと同じで、アンナマリアは流し込まれる快感に抗うことができずに痩躯を震わせた。

「ほらほら、まだここが残ってますよー?」

くすりと笑って、レリアはアンナマリアのドレスをはだける。片手しか使っていないにも関わらず、あっさりと白い肌を露出させた。

わずかな膨らみしかない薄い胸をレリアは下から押し上げる動きで撫でる。そして、最後に乳輪を人差し指でなぞった。

「や、やあ!」

「そんなこといってー、乳首はこんなに硬くなってますよぉ?」

レリアが首もとから口を離して、アンナマリアの薄い胸で硬くなっている乳首を舌先で突いた。

そうやって焔色の髪の毛を持ったレリアから与えられる刺激は、総て躯に触れたと同時にぴりぴりとした快楽をアンナマリアに与える。男に犯されて強引に弄られたときは気持ちよさを感じなくとも、レリアの繊細な手腕には逃れがたい快感を叩きつけられていた。

「な、なにこれ、どうしてこんなに……っ」

「どうしてこんなに気持ちいいか、ですよねぇ?」

「……っ」

アンナマリアの顔が羞恥心で真っ赤になる。嘘をついて突っぱねることができないほどに、躯は正直にレリアの手によって悶えさせられていた。

レリアが乳首を甘噛みすれば、ずっと弄られ続けているアンナマリアの秘所からは愛液があふれ出す。

「あっ、ああう……はぁっ! ああ……」

虚ろな目で小刻みに痙攣を繰り返す。その有様に、レリアが微笑んだ。

「あれ、イっちゃいましたぁ?」

「はっ、あ、うあ……」

ふわふわとした浮遊感にアンナマリアは戸惑っていた。肉体を得て地上を徘徊し始めてから与えられる初めての経験に、自分がどうしたのかわかっていな

かった。

だから、レリアに訊ねられてこれが絶頂なのだと理解した。

「イった……?」

今までは知識としか知らないものだった。それはいつでもアンナマリアと躯を重ねる男が死の間際まで幾度となく繰り返す感覚であったのだ。ジョゼフと繋がったときこそは奇妙な充足感があったものの、これほど衝撃的なものではなかった。

「そうですよぉ、ギヨたんはイっちゃったんです。あたしに舐められてぇ、性器を撫でられてぇ、気持ちよさのあまりに昇天しちゃったんですよ。もしかして、イクのは初めてでした?」

全身を弛緩させたアンナマリアの下半身から指を抜いて、愛液と精液の絡み合った指を口に運ぶ。レリアは自分の指に舌を這わせて、その混合液を嚥下した。

「んふっ、これがジョゼフくんの精液と、ギヨたんの味なんですか。久しぶりの精だから夢中になっちゃいそうですよ。結局、今日もパンしか食べませんでしたから」

「こんなこと、今までなかったのに……これが……」

「そんなに衝撃的なんですかぁ? それとも、不思議ですか? どうしてあたしの行為でこんなに気持ちよくなっちゃうのか」

アンナマリアはのろのろとした動きで後者の言葉に首肯した。疲労がたまってぐったりすることはあっても、今みたいに全身に快楽が染みわたるようなことは経験がない。男たちに技量が足りなかったといえばそれまでかもしれないが、アンナマリアが心的に充足していたジョゼフとの性行ですら起こりえなかったこと だ。

もしかするとあの充足感はわずかに達していたために起こったものかもしれなかったが、どちらにしろ今の感覚よりはずっと易しい。

だから、レリアに原因があるとしかアンナマリアには思えなかった。

「それはですねぇ、あたしが淫魔だからですよ」

「淫魔?」

「そ う、淫魔です。あたしたちの唾液とか、分泌される体液には精力を増幅させる要素があってですね。えっちする人をより性的に興奮させることができるのです。 なので、感度も上がってしまうわけなんですね。そういうわけで、今も自分が得意な状況にしたんですよぉ? まともに戦ったらギヨたんには敵いませんから」

淫魔――そういった種族がいることくらいならアンナマリアも朧気にではあるものの知っていた。魔女に教わった記憶はないので、恐らく制作者たちによって断頭台として生を受ける前に刻まれたものなのだろう。

「で もこれくらいは人が呼吸をするように、淫魔なら全員が持ってる生態なんですけどね。実際は、あたしのえっちが上手だからなんですよ。ギヨたんも女の子だか ら、どこで感じるかなんてもう手に取るように判っちゃうんだから。あ、淫魔には女の人しかいないんですけどね。とにかく、乱暴に男の人に突かれてるだけ じゃ、こうはならなかったでしょー?」

ちゅっ、とレリアが胸にキスをすると、はふっ、とアンナマリアは甘い吐息を洩らす。この薄い胸を滅茶苦茶に

揉まれたことは何度かあったが、脳髄が蕩けだしそうになることはなかった。

「ギヨたんったら、ホントにイジメがいがあるんですからっ! もっと食べたくなっちゃった。人間じゃないから先生も文句をいうことはないでしょうし……あっ」

レリアがあるものを見つけて、目を輝かせた。

「そうだ……じゃあ、ギヨたん、次はこうしましょうね」

「え……?」

ようやく頭の回転が戻ってきたアンナマリアを起こすと、レリアはそれの方へと近づいていった。

ふたりはジョゼフの股の間に躯を滑り込ませる。そこには勃起しているペニスがむき出しになっていた。

「ジョゼフくんったら、ギヨたんの喘ぎ声で目を覚ましちゃってたんですよ」

「あ、いや、これはその、盗み聞きをしていたつもりじゃ!」

意識があったといっても夢に微睡んでいるような状態だったジョゼフは、レリアとアンナマリアが動いたことでようやく完全に覚醒した。どうしてこうなっているのか理解はできていないようだったが、現状の認識はできている。

ジョゼフの弁明をレリアは聞く耳すら持たなかった。その目は爛々と輝いて、大きくなっている肉棒に注がれていた。

「ふふっ、おしおきしてないとあげませんよね?」

レリアが竿を握ると、押し殺した呻き声がする。

「さあ、ギヨたん。……一緒に、舐めちゃいましょ?」

アンナマリアの目も、大きくなった性器に釘付けだった。さっき自分が銜えこんでいた陰茎を前にして、あの愉しげな感情が再び胸に戻ってくる。

レリアが舌を伸ばすと、釣られてアンナマリアも舌を伸ばす。ふたりの少女の真っ赤な舌がジョゼフのペニスを舐めあげた。

「うっ!?」

ふたりの口が茎に吸い付いて、肉棒が激しく脈打つ。既に何度もアンナマリアに射精していたにも関わらず亀頭を真っ赤に膨らませたペニスに、レリアが歓声を上げた。

「あはっ、ジョゼフのおちんちんってこうなってたんですねえ。こんなに震えちゃって……」

レリアが眼を細めて、感極まったとでもいうように云った。魔女から止められていたが、ジョゼフのことはこの国にやってきたときからずっと目をつけていたの である。今まで狙った相手はすぐに食べていたレリアとしては、お預けされ続けてきた末に食べることを許されたごちそうであった。

「はむっ」

レリアが亀頭を呑み込む。

ぷちゅっ、と唾液が亀頭に絡んでいやらしい音を立てた。赤く膨れあがった先端に何度も情熱的なキスをする。柔らかく膨れた唇が亀頭を這い回って、舌先が尿道をなぞっていく。その甘美な快感にペニスの射精へのカウントダウンが始まった。

「んー、こっちにキスされる感覚はどうですかぁ? いっぱい愛でてあげちゃいますよー……わっ」

押し寄せる快楽に耐えているジョゼフの顔を眺めながら亀頭にキスしていたレリアの唇に、アンナマリアの唇が触れた。

「ん……」

アンナマリアがレリアの目を一瞥して、彼女の唇

を巻き込んで亀頭を愛撫する。ふたつの舌に責められて、切なげな声があがった。

知らずのうちに、アンナマリアは対抗意識に駆られていた。それを見て取ったレリアは面白いと鼻を鳴らす。

「んふっ、そっちがその気ならぁ、こうですよ」

ずぷんっ、とアンナマリアの秘所になにかが突き込まれた。

「ひあっ!」

喉の奥からしゃっくりみたいに声をあげたアンナマリアは、自分の膣に入り込んでいるものを見る。そこにあったのはレリアの手ではなく、彼女の尾骨の辺りからスカートを押し上げつつ現れた黒い尻尾であった。

先端がハート型になった――見ようによっては、男性器に見えなくもない尻尾が、アンナマリアの愛液に濡れながら奥へ奥へと突き進む。男性器と違って膣内で蛇みたいにのたうち回る尻尾に、アンナマリアは快感で足をぴんと伸ばした。

「あっ、ひゃあっ、入って、る!」

「おちんちんとは違いますけどぉ、これなら色んな所も責めてあげられますよ?」

アンナマリアの耳に息を吹きかけて、レリアはさらに尻尾を暴れさせる。男のモノを銜え込み続けていたとはいっても、快感を与えられることに慣れていなかった少女の躯の弱点を探りあてるなどレリアには造作もないことだった。

ずぽっ、ずぽっ、と尻尾のピストン運動にアンナマリアは口淫をしていたことも忘れ、涎を垂らしながら喘ぐ。

「や、やあ……っ、これ以上、されたら……お、おかしくっ」

「はいはーい、お口がお留守ですよぉ」

レリアがアンナマリアの頭を掴んで、ぐっとジョゼフの一物へと近づける。

「あ……」

焦点を失った目でアンナマリアは目の前でそそり立つペニスを銜えた。

尻尾に突かれ、抑えきれぬ喘ぎ声をあげながらも一心不乱に男性器に食らい付くゴシックドレスの少女にレリアは満足そうに頷いて、だらしない顔になっているジョゼフを見上げた。

「それじゃあ、ジョゼフくぅん……たっぷり気持ちよくなってくださいね」

アンナマリアと唇を重ねるように、レリアもまた逞しく勃起した陰茎に口づけをした。

天性の肉体に任せて男を絶頂させていたアンナマリアと違い、レリアの口は染みついた技巧が伴っている。男性の一番敏感なところを熱っぽく幾度とキスする手際に、男は全身を一斉に愛撫されているような錯覚を起こすのだ。

小さな口で涎を垂らしながら一生懸命にペニスを出し入れするアンナマリアに、恵まれた肉体だけでなく経験によって培われた性技を披露するレリア。

奥歯を噛んで脳内で神経が切れてしまっているのではないかと思うくらい我慢していたジョゼフにも限界は目前に迫っていた。

アンナマリアも、また天に向かって上り詰める。躯を突く、乱暴に見えても実は繊細に弱いところを突き上げてくる尻尾に抗うことはできない。きっとジョゼフがイクと同時に彼女も達してしまうだろう。

自身の幼い躯を弄ばれて快楽に苛まれながらも美味しそうにペニスを舐めるア

ンナマリアは、正気を手放しそうになりながらもわずかに残った脳の片隅で考える。

このまま、イっていいものか――。

でも、我慢することはできない。下半身をがくがくと痙攣させて、アンナマリアの躯はレリアが与えてくれる刺激に陶酔していた。

ただ。このままイかされるのは、嫌だ。

きっと、このままイってしまえば、あまりの気持ちよさに意識を失ってしまうことをアンナマリアは自覚していた。それは、くやしい。

復讐のためにこんなことをしてきて、街を徘徊してきたのに、こんなところで出会ってしまった淫魔を証する少女にあっさりと折られてしまう。そんなの、くやしいに決まっている。

なら、せめて一矢報いてやる――。

アンナマリアはレリアのスカートの中に手を伸ばした。

下着に触れると、そこは興奮のためか愛液でぐっしょりと濡れていた。その合間から、アンナマリアはレリアの秘所に指を差し込んだ。

レリアの膣肉は指を強く締め付け、幾重にも波打つ襞に擦られる。くちゅくちゅと音を鳴らしながら掴まれた指先は、それだけで背筋を走る快感を覚えさせられた。

くふっ、と唇とペニスの合間から息を洩らして、レリアが微笑む。

「ギヨたんったらぁ、その気になっちゃって……うふふ、気持ちいいですよ?」

男のモノなら何度も握ったことはあったが、アンナマリアも他人の女性器を弄るのは初めてだった。そのせいで手つきはたどたどしく、手探りにレリアの下半身をまさぐっている。

「ほら、頑張ってくださいよぉ」

「んぐっ!?」

嗜虐的に云って、レリアは尻尾でアンナマリアの子宮口をぐっと押した。内臓を押し上げられてえづくが、それ以上の快感が躯を浸食する。

「あ、ひゃう」

肺が引きつって、変な声をあげてしまった。涙で視界が歪むのは、悲しいからではなく心地よすぎたからに他ならない。

鼻先のペニスから漂う精と唾液の香りに、激しい挿入でひくひくと痙攣する陰部。

止まりそうになる指先に意識を集中させて、アンナマリアは指の根本までレリアの秘部に挿入した。アンナマリアと同じか、それ以上に小さいレリアの性器は淫らにうごめき、二本も三本も指を銜え込む。

「そうですよぉ、その調子です。ふふっ、少し気持ちよくなってきまし……はうっ!?」

アンナマリアの指の動きに、余裕綽々だったレリアは艶っぽい声をあげた。自分で自分の反応に驚いて、レリアは股をむずむずと動かす。そうすると膣内にある指の感触がより鮮明に感じられた。間違いなく、そこにあるのはアンナマリアの手業に慣れていない細い指先。

「な、なんで? ……ひゃっ! えっ、うそ、なんであたしが感じてるんですかっ」

その反応は奇しくもレリアに責められたときのアンナマリアのそれと似ていた。

アンナマリアは汗ばんだ顔で、眠たそうにした目をレリアに向ける。それは快楽に酔いしれている目であったが、胡乱ではなく――どこまでも続いてい

きそうな深遠なる闇が垣間見えた。

レリアの中に焦燥感がわき上がる。続いて、対抗心。人になって数日か数週間した経たぬ者に性技で負けるわけにはいかない。ムキになって、尻尾のピストンを跳ね上げた。

「うぐっ」

アンナマリアの腰が跳ね上がる。愛液が比喩ではなしに滝のようにこぼれ落ちた。口からは喘ぎを洩らす。それでも指だけは止めなかった。

ぎこちなかった指の動きは今やよどみないものとなり、女性の――レリアが弱いところを探し当てようと膣内をこねくりまわし、責める。そのたびに少女の躯が反応を返した。

性技に長けたレリアは、もちろん人から受ける快感への耐性も強かった。性技自慢の男たちとまぐわろうとも、相手を搾り殺すことこそすれ、感じることはそう そうない。二度、三度、人間がレリアの躯に経験を積めば話は違うかもしれなかったが、それでも気持ちいいと感じさせるだけに留まるのみだろう。そもそも、一度目で死んでしまうのだから二度目が来ることすらないのである。

よって、レリアは性行を楽しみこそしても、躯をビクビクと震わせるほどに快感を感じたのは魔女と寝ているときを除いて数百年ぶりだった。

「そ、そんな、どうしてこんなに早くっ」

「だって、教えてくれたでしょう? さっき、わたしの躯で……」

「まっ、まさか! あたしに責められただけで、覚えちゃったんですかぁ!?」

驚くべき事実でも、そうとしか説明のしようがなかった。アンナマリアはレリアの技に身をもって溺れたことで、一気にやり方を吸収してしまったのである。

「で、でも……先にあたしがイかせちゃえばっ! このままならもうジョゼフくんとギヨたんだって限界のはずっ」

その通りだった。アンナマリアの覚えた技は、所詮はレリアの付け焼き刃。いくら驚異的学習能力だとしても、この逆境を跳ね返すだけの力はない。

――そう、この力、だけなら。

はあ、はあっ、と肩で息をして快感に意識を手放しそうになりながら、アンナマリアはレリアの耳元で呟く。

「ねえ……この、ジョゼフって人のこと、好きなの!?」

「はいぃ!? なっ、なにを云ってるんですか! あたしは淫魔ですよ、サキュバスですよ?人なんて食料に決まってるじゃないですか! ステーキに欲情する人間がいますか? いないでしょう!」

「慌ててる……かわいい」

自分を苦しめたレリアが顔を真っ赤にして否定したものだから、アンナマリアは素直にそう思ってしまった。その言葉が益々レリアに羞恥心を抱かせ、心の隙にアンナマリアの指が入り込み――こじ開ける。

「ひゃっ、あっ、しまっ……だ、駄目です、もう……っ」

うっとりとした表情で、レリアは興奮のままに尻尾を上下させながら、涎まみれの口で陰茎にむしゃぶりつく。

「ひっ、いやぁっ!」

アンナマリアもレリアも限界だった。

ふたりは目の前の肉棒に激しく唇を這わせながら、指と尻尾の勢いを増して

――。

「ふぁ、ああああああ――!」

同時に絶頂を迎えた。

びくんっ、と躯を仰け反らせて、口は亀頭に吸い付く。それで肉棒も頂点に達した。

激しく脈打つペニスから飛び出す精の塊。アンナマリアとレリアの顔を熱いスペルマが真っ白に彩った。

むせかえるような精の香り。再度の射精にまたもや意識を手放したジョゼフの下半身に顔を寄せて、口の中に入り込む精子の味に酔いながらふたりも意識を手放した。

路地裏には半裸の三人が倒れていた。それをすぐ近くでひとりの女が見下ろしている。

魔女イザベラは呆れて嘆息した。そこにいたのは、全員彼女の顔見知りであったからだ。云うまでもなく、ジョゼフ、アンナマリア、レリアの三人である。

「まったく、運ぶ身にもなってくれたまえよ。まあ、こうなることは予想できてたんだけど」

ローブをまとい、扇情的に胸元をはだけているイザベラは、呆れはしたものの驚くことはない。今回の出来事はイザベラにとっては想定内のことであったからだ。

「ジョゼフが生き残っていることくらいかな、意外なことは。てっきりギヨたんかレリアに搾り殺されると思ってたけど、その前にダブルノックダウンとはね」

運の良い子だな、と肩を竦める。そこに罪悪感は欠片もない。それを追求すれば、結局生き残っているのだから感じる意味もないとイザベラは断じることだろう。かといって、死んでいても悪びれるかと云えば、そうは思えない様子が彼女にはあった。

例え自分が助けた命でも、死ぬときがくれば死ぬ。それをわざわざ能動的に払ってやろうと行動しない程度に、魔女イザベラはやはり魔女と云える思考の持ち主だった。

けれど、生き残ったのなら、せめて助手共々面倒を見てやらなくては――とイザベラは億劫ながらも腕を突き出し、動作をやめる。

「おや……」

遠くから足音がしていた。それはひとりによるものではない。人が群れをなし、夜闇の中で闊歩していた。

「おい、こっちから声が聞こえてきたよな」

「ああ、もしかすると最近噂の殺人犯かもしれないぞ」

魔女はトレードマークの帽子を手で抑えながら、彼らが何者であるか検討をつけていた。

夜の街を巡回している男たちだ。アンナマリアの所業によって行われた殺人の数々で、ついに重い腰をあげて警邏を強化したのであろう。

どうやら、三人の情事を嗅ぎつけてきたらしい。

「声が大きすぎるよ、君たち……」

三人には届かないと判っていても、イザベラは面倒が増えたことに対する不満を口にするのを抑えられなかった。

そうしているうちに、路地裏を覗く幾つもの影がイザベラの背後に現れた。

「おい、誰かいるぞ」

男のひとりがランプを路地裏に向けた。背中に光の熱を感じて、イザベラはローブを揺らして振り返る。

そこにいたのは四人の男たちだ。腰には鋳型にはめられて作られた安物の剣を下げ、頭部を守るメットとなめし革の鎧を身に着けている。

もし、彼らの想定していた殺人犯が単独犯なら、なるほど、その程度の装備でもなんとかなったかもしれない。相手が人間であるなら、四方を囲めばそれで事が済む。

ただ、それも相手が常人であった場合を想定していたらの話である。イザベラからしてみれば、酷くお粗末な身なりだった。イザベラでなくとも、相応の使い手 ――今まで悟られずに街中で人殺しをおこない続けることができるほどの者となれば、問題なく皆殺しにできてしまえそうである。

「なんだ、娼婦か?」

イザベラとその背後に半裸で倒れる三人を見て、男たちのひとりが疑問の声をあげる。

下半身をむき出しにしたジョゼフと、男性器に纏わり付く少女がふたり。誰が見ても、路上で激しい一夜を過ごしている者たちにしか見えなかった。

さらに、イザベラの格好はおよそ街中を歩く淑女に相応しい身なりではない。ふわふわとした布で躯の線こそ隠れているものの、たわわに実る豊満な胸元は外気 に晒されていた。くわえて、美貌である。月光を受けて輝く銀髪も、その氷像然としていながら飄々と揺れる柳のような相貌も、総ての要素が黄金比率を保って いた。

高級娼婦。否、それ以上。男たちの全財産を叩いても抱けないほどの上玉――。

警邏隊の関心はイザベラと、倒れる少女の裸体にだけ注がれていた。彼女たちこそが警戒しなければいけない集団であるとはまったく考えていなかった。。

「へえ、良い女じゃないか……。そっちのガキ共も、相当手慣れてるみたいだな。男共々気絶してやがる。しかしなあ、俺たちの手を煩わせたんだ……勿論、責任は躯でとってくれるんだろうな?」

警邏隊のひとりがイザベラの腰に腕を回す。色事を前にしただらしない男の顔が息もかかるほどイザベラの顔に近づく。

どうやらこの男がリーダーのようで、他の三人は遠巻きにイザベラたちを見ているだけだった。それでも顔はだらしなく緩んでいる。情事の現場を目撃して興奮したのか、彼らも浮き足だっていた。

イザベラは口元に笑みを浮かべて、自分の腰を抱く男を流し目で見た。それだけで漂う色香が男の胸をくすぐる。

「どうやら、随分たまっているようだね……。ふふ、激務で女を抱く暇もないのかい?」

「ああ、そうさ。それに、誰のために俺たちが働いてやってると思ってる?国民のためさ……なら、お前たちも俺たちに奉仕する義務がある。そうだろう?」

男は布越しに膨らんだペニスをイザベラのふとももに押しつけながら、彼女の乳房を乱暴に掴んだ。

小さく嬌声をあげてると、イザベラは指先で男の顎をなぞる。

「強引だね。でも、そういう男は嫌いじゃない。私も久方ぶりでね……男が欲しかったところなんだ」

「へえ、話がわかるじゃねえか……。後ろの連中の相手はそっちのガキどもがやってくれるんだろうな?俺ひとりでってのも気が引けるんでねえ」

「ああ、それは駄目だね。彼女たちは疲れているし…

…そもそも、キミひとりじゃ私が満足できない」

「なに?」

片眉をあげて問い返す男に、イザベラは妖艶に微笑んで右手を掲げた。

「私がキミたち全員の相手をしてあげよう」

パチン――、と指を弾く音。

それを合図に、世界は変貌した。

*警邏をしていた四人の中で一番肩身の狭い思いをしていたのが誰かと云えば、もっとも年若い少年だった。

年齢は一六歳で、人と喧嘩をしたことこそあれども殺し合い染みたやりとりはしたことはないという、そこそこに恵まれた少年である。

革命が起きたことで、そんな少年にも剣を持たなければいけないときがきた。王を処刑したのだし、戦時なのだから今まで戦いをしたことのない者でも武器を手にしなければいけないのは考えてみれば当然のことである。

もっとも、少年が警邏に従事しているのは、なにも革命やそれに伴う使命感などではなかった。もし、徴兵を断ったりしたら逆賊として殺されるに決まっている。それが革命によって生まれ変わった国家の選択だった。

これじゃあ、僕たちの戦いに意味などないじゃないか――。

少年は革命を望まなかったが、それを時代は許さなかった。群衆の総意は、いつだって少年みたいな人間を小石のように流れへ巻き込んだ。

少数派を呑み込んで、一丸となって戦いに挑む。それ自体に間違いはないのだろう。統一性がなければ、争いに足を取られてしまう。

呑み込まれた少数派はいつだって不平を洩らすが、所詮、それは大多数から見れば弱者の戯言にすぎない。少数派である彼らの主張が正しくとも、それを他人と 共有できなければ、そこまでの主張であったに過ぎない。少数派が大多数の人間を罵るのは、結局のところそれしかできないから責任と無力感を押しつけている だけなのだ。

そう、革命が、民衆の総意が嫌なら、不平を云うのではなく、立ち上がって声も高らかに宣言しなければならない。リスクを恐れずに総意へ立ち向かわなければいけない。それができないのなら、そもそも見苦しく自身の思想なぞまき散らすべきではないのだ。

だから少年は口を閉じた。

自分にそんな力がないことも、見苦しく不平を垂れることすらもできない小心者であることをよくわかっていたからだ。

「――そう、キミは疲れているんだね」

「え?」

優しい声が少年に語りかけてきて、声をあげる。

いつの間にか、少年はベッドの上にいた。淡いピンク色のシーツが敷かれた、甘い香りが漂うふかふかのベッドだ。

少年の頬に柔らかい手が触れる。ベッドにはもうひとり座っていた。

身を乗り出して手を伸ばしていたのは、少年と同い年くらいの少女である。長い銀髪に、見つめられると背筋が撫でられたみたいな心地になる鋭利な眼が印象的だった。

魅力的な瞳が、少年をいたわるように細められている。頬に触れている手の感触に心奪われて、少年は革命によって荒んでいた精神の海が凪いでいくのを感じた。

「

君は誰――そういえば、僕はさっきまで警邏を――」

少年の唇を少女の人差し指が塞いだ。

「何も考えなくて良いよ。私に身も心も任せるといい。大丈夫、優しくエスコートしてあげるよ……天国まで」

少女が少年の肩を押して、唇を奪いながらベッドに寝かせた。

抵抗しようという気持ちはついぞ浮かんでこなくて、少年はこの麗しい少女になにもかも任せることにした。もう、考えるのは疲れていた。この甘い芳香で、悩みがどうでもよくなった。

そういえば、ここはどこなのだろう。ベッドしか見あたらない、よくわからない場所。

――まあ、どうでもいいか。

そう切り捨てて、少年は口の中に入ってくる少女の舌に意識を集中させた。

長い長い全身を包み込むようなキスが終わる。真上で微笑む少女に、少年はひとつだけ訊ねてみた。

「君の、名前は?」

少女は囁く。

「――イザベラ」

リーダー格の男は困惑していた。

自分は先程まで、汚物まみれで臭気漂う路地裏で女の腰を抱いていたはずである。

「なのに、どうして」

悪夢の中に迷い込んだ心地でつぶやいた。

そこはピンク色のシーツが引かれたベッドの上だった。こんなところにやってきた記憶が、男にはまったくない。飲酒もしていなかったし、前後不覚になる理由はなかった。

なによりも、ここにはベッドしかないのが問題だった。周囲を見渡しても、果てが見えない。大海原に放り出されても、こんな不安は抱かないだろう。なにせ、海には海水と空があるのに、ここは文字通りベッド以外の存在が皆無なのである。

「へえ、変化なしか。この私の躯が理想的だったとは、いやはや、女としては誇りに思うね。キミに恋愛感情が抱けていたのなら、きっと心底愛してあげられたはずだよ」

いつの間にか、魔女イザベラがベッドに腰掛けていた。大きな帽子も、ローブも、そのままである。この空間にあって、その姿は異様だった。

「お、おい、いったいここはなんだ。お前がなにかしたのか!」

「その通り。総てが私の思いのままになる、ここが一番好都合なのさ。なにより、ベッドの上の方がムードがあるだろう? それとも、陵辱願望をお持ちだったかな」

イザベラがベッドに引きずり倒された。破れたローブから、片手では覆いきれない乳房が漏れ出る。

「お前、俺をおちょくってんのか!」

「あれ、そのつもりだったんだけど……判らなかったかな?」

男の頭の中が怒りで沸騰した。もう、ここがどこだかなんて考えるのはやめた。今は、この女の躯に後悔の味を刻みつけることに執心した。

ズボンを降ろし、男は勃起した一物をむき出しにする。例えいかに腹の立つ女であったとしても、目の前にいるイザベラは男にとって理想的な肉体をもっていた。

彼女の銀髪を乱暴に掴むと、男はペニスを口の中にねじ込む。魅惑的な赤い唇と白い歯を押しのけ、一気に喉の奥を亀頭で突き上げた。

そのまま髪を引いて、口の中で剛

直をピストンさせる。人肌の生ぬるい温度でしめった口腔を犯せば、背徳感と快感が合わさってぞくぞくっと全身を駆け巡った。

夢中になってイザベラの顔を腰に叩きつけ、口蓋と舌を汚れたペニスで蹂躙する。

男性器を慰める気持ちよさに涎を垂らしながら息を乱していることに、当の本人である男は気付いていなかった。

イザベラが髪の毛を掴んでいる男の手首に触れると、軽い衝撃がそこに走る。痛みはなくとも、腱を刺激されたせいで男の手は勝手に開き、銀髪を手放してしまった。

ぬるりと涎まみれの男性器を口から抜いて、イザベラは男相手に上目遣いとなる。

「口よりも、もっと気持ち良いところがあるよ」

そう云って、自身の胸に剛直を挟み込んだ。

異論を唱えるより先に自分自身が胸に包まれたことで、男は情けなく声を洩らしてしまった。

仰向けの体勢で豊満な、それでいてマシュマロみたいに柔らかい乳房で男のペニスを捉えれば、イザベラは胸を上下させた。

ぬちゅっ、ぬちゅっ、と音がして、胸の中で肉棒が暴れる。胸があがれば亀頭まですっぽりと胸に押し包まれる。胸が下がれば、亀頭が胸肉を掻き分けながら顔を出した。

「本物の亀みたいに頭を出したり隠したり……随分とかわいらしいペニスじゃないか」

「はが、あがががが……」

男は腰砕けになりそうなのを必死に堪えていて、イザベラの言葉は耳に入ってこなかった。

彼女の唾液が潤滑液となり、スムーズに胸の谷間を往復する。

鉄のように硬くなったペニスを押しつつむ豊かで柔らかな感触は、まさに天にも昇る心地よさ。

ふつう、女性の乳房は子供にミルクを与える供給器官であるはずなのに、イザベラのそれは男の肉棒からミルクを搾りだすための搾精器官だった。

「熱い、焼けるように熱いな……そんなによがって、よほど私の胸が気持ちいいらしいね」

淫蕩に微笑み、イザベラは自分の乳房を揉みしだきながらペニスを圧迫する。自分で自分の胸を慰めながら男の肉棒を擦り挙げる仕草は目眩がするほどに妖しい。

「我慢する必要はない。たっぷりと玉袋にたまった精子を吐きだしたまえ。この胸の中でね……」

云われるまでもなく、男の脳裏に我慢の二文字はなくなっていた。それ以前に、優しくも無慈悲にペニスを搾る乳房に抗えるとは思えなかった。

亀頭に鮮烈な快感が走る。魔女が目一杯舌を伸ばして、その先端で亀頭を舐めていた。胸の谷間から顔を出したペニスをちろちろと舐めながら、ぎゅっと左右から胸で茎を圧迫する。

尿道にイザベラの舌が入り込んだ瞬間、男のペニスが震えた。

「あ、あ、出る……うわおおおおおおお!」

ぶしゅっ、と白濁の噴水が飛び出した。

イザベラの美麗な顔へ大量に男の子種がまき散らされる。

目を閉じて精子を受け止める。まだ射精は留まることを知らず、乳房の中でのたうち回り黄ばんだ精液を吐きだしていた。

イザベラの顎から細い喉までを真っ白く

濡らし、あまりの快感に男が腰を引くと胸の中でも爆発を続けた。ぶわっと乳房から溢れだした精液が谷間に白濁の池を作る。

陰嚢の中にあったものを一度に総て吐きだしたのではないかと思うほどの量がイザベラを汚し、むせかえるほどの青臭さが溢れた。

腰が砕けたのか、男はイザベラに覆い被さる形でベッドに倒れ込む。何十分も全力疾走をしたのかと思うほどに息を荒くする男は、ペニスに再度くわえられる刺激に情けなく呻いた。

イザベラが精液に濡れた乳房で、射精したばかりのペニスをしごいていたのだ。

「ほらほら、どうしたんだい?男なんだから、まさか一回出しただけで満足なんてことあるわけないよね?遠慮しなくていいっていったじゃないか……出したまえよ」

男にはそれが悪魔の囁きにしか思えなかった。性欲は旺盛だと自負していた男も、たった一度胸に搾られただけで総ての精子を吐きだしていた。

嗜虐的に笑いながら、イザベラは精液を利用してぬるぬると胸でペニスを責め立てる。いやらしく精子で気泡をたてながら、柔らかい胸が絡みついた。

「はぐっ、ごっぐげっ……ああああああ……っ」

ベッドのシーツに顔を押しつけながら内臓を吐き出しかねない形相で男が悶える。射精した直後のペニスを責める温かくも柔らかい胸は冷酷なまでの快楽を流し込んでいた。

男の苦しみようとは裏腹に限界まで勃起したペニスは白い飛沫を飛ばしながら乳房を堪能している。イザベラが首を傾けて、胸から飛び出た亀頭に吸い付いた。 ずずっ、と精液をすすりながら亀頭にキスをする。精液に口元を濡らしながら亀頭を這い回る唇。イザベラの唇に刻まれている皺のひとつひとつが感じ取れるほ ど、亀頭の感覚ははりつめていた。

「やめ、やめてくれ、出る、また出るっもう出ないのにっやめろ! やめてくれ!」

「嘘はよくないな……キミはまだまだ出せるよ。だって、ほぅら。今だってこんなに膨らんでいる」

聞く耳もたずにイザベラは乳房を操る速度を速め――「だあああああああああああああああああ――――!?」

男の絶叫と共に、乳房から頭を突き出したペニスが爆発した。

一回目と変わらぬ、むしろそれ以上の勢いで真っ白な液体が溢れる。イザベラの美しい銀髪にもべっとりとかかり、さらに顔と胸に子種を振りかけた。

「おやおや、これでは胸が妊娠してしまうじゃないか」

くっくっ、と喉を鳴らして、胸を白くデコレーションしたペニスに向かって云った。

威勢のよかった男は既に無く、あとには虚ろな目でベッドに横たわる哀れな犠牲者がいるだけだ。

躯を起こしたイザベラは、今にも息絶えそうな男に――そのペニスに手を伸ばした。精液まみれの萎えかけたペニスを掴むと、男の躯が跳ね上がって嬌声をあげた。

「あがぁ……っ」

「まさか、本当にこれで終わりってわけじゃないだろうね。私はまだ胸に挟んだだけで、膣に挿入すらしていないのだよ? それ

はあまりにも自分本位な性行じゃないか。さあ、本番と行こう」

イザベラが萎えかけたペニスをしごくと、掌の中でむくむくと首をもたげ始める。精液でぬるぬると指を滑らせる手つきに、男は意志と反して挿入可能の状態になるしかなかった。

「な、なんで……なんで、まだ立つんだ……」

けれど、数週間、数ヶ月分の精液を一度に吐きだしたにも関わらず勃起するというのはさすがに異常だった。自分の躯が自分のものではないようで、男は快感ではなく恐怖で震え出す。

「ああ、それはね。ちょっとキミに細工をしただけだよ。私は淫魔と違って人間だからね、精力を刺激する体液を分泌なんてできなくてね。自前のテクニックと魔法でどうにかするしかないのさ」

「ま、魔法? まさか、魔女……!」

男は悲鳴をあげるようにその名を口にした。

魔女について、今更説明するまでもない。悪魔と契約したことにより力を手にした背信者、その総称が魔女である。

魔法使いを恐れる人間は少ない。むしろその力に憧憬すら抱く。だが、魔女は別なのだ。悪魔が無償で契約することは、人が呼吸をしないで生活するのと同じく らいにあり得ない。彼らは必ず、人に交換条件を持って契約を結ぶのだ。より正しく云うなら、人は悪魔に従属することで魔女となる。そもそもの力が違うのだ から対等な契約が結べるわけもない。

そして、悪魔の契約とは常に人間を追い詰めるものである。力を与える代わりに生け贄を寄越せ、なんてものがポピュラーなものだろう。

だからこその魔女狩り。異端なるモノ共の放逐。

人はみな、魔女を恐れていた。彼らは自分たちと同じ人の姿をしているから、隣にいる人が魔女かもしれない。そんな恐怖が常につきまとっていたのだ。

「そ、そんな……魔女狩りがあったはずなのに……」

「魔女狩りか。あれは不味かったね。キミたちが魔女として狩っていたのは、大抵がただの人か淫魔だったんだから。あんなことをおこなわなければ、淫魔が国を支配しようだなんて考えなかったのに」

「い、淫魔……? さ、さっきからそれはなんだ……」

「うーん」

唸って、イザベラが男のペニスを握る手に力を込める。元気さを取り戻したそれにイザベラは舌を寄せた。亀頭を舐めあげ、舌にこびり付いた精液を呑み込む。

「今の私みたいな生き物、かな?」

淫蕩に微笑むイザベラに、男は自分の末路を悟った。

なんて、悪夢だ――。

「悪夢じゃない。淫夢さ」

男の思考に声で応え、イザベラは相手に騎乗すると肉棒を膣に埋めた。

魔女イザベラの扱う魔法の体系は多岐にわたる。それもこれも、無数の悪魔と契約を結ぶという荒技をおこなったがために会得できたものだ。

魔法と一言にいってしまうのは、世界中の食物を総て料理として括ってしまう程度には乱暴な区分であったが、魔女イザベラに対してだけは話が別である。魔法というおおざっぱな区別をしなければいけないほど

に彼女の能力は膨大だった。

今、おこなわれているこれも、イザベラの特異な能力故であった。

「なんだ、キミは私みたいな幼子が好きなのかい? それは変態性癖と云わざるを得ないな」

魔女イザベラの声――しかし、幼い。

舌っ足らずな、イザベラに似た声を発したのは一二、一三歳くらいの幼子である。その女の子はピンク色のシーツがひかれたベッドの上に仁王立ちして、ベッドに寝転がる男を見下していた。

警邏隊の四人組、そのうちのひとりである。

男の股間は布越しでも膨れあがっているのが目に見えて判るほどで、幼子は不愉快そうに鼻を鳴らした。

「変態と云われて喜ぶ人種がいるのは知っているが、いつ見ても理解に苦しむな、ペドフィリアめ。さすがにそんなもの、触ってやりたくもないよ」

太腿まで届く靴下を穿いた足で、幼子が男の股間を勢いよく踏みつけた。例え幼子といえども蹴られれば痛みがあったはずだが、男が洩らした声は苦悶ではなく嬌声である。

「あ、ああ……!」

「喘ぐな、耳の毒だ。このまま踏み潰してあげようか?」

男性器を踏む足に力がこもる。ぐりぐり、と足を捻った。

土踏まずの下で余計に膨れあがっていくペニスに、銀髪の幼子は未成熟ながらも美しくなることを予想させる顔をしかめた。

「小さくなるどころか、大きくなるとはね……。こうも欲望に忠実だと逆に関心するよ。よくもそこまで興奮できるものだよ」

変声期も迎えていない幼い喉から発せられる言葉は知的にして老獪で、その差違が彼女を異質たらしめていた。

その追求に、男は上擦った声をあげながら首を振った。

「こっ、興奮なんてしてないぞっ」

慌てて取り繕われると、幼子は足の力を強めて強制的に黙らせる。

「嘘をつくならもっとマシな嘘をつきたまえよ。幼女に踏まれてペニスを勃起させながら云っても説得力なんて皆無だ。ああ、幼女趣味ならおちんちんと云った方が興奮するかな。……するようだね」

足の裏に伝わる感触がさらに硬くなり、幼子は吐き捨てる。男は羞恥で顔を真っ赤にしていた。

「こうしていても仕方のないことだし……まずは一度楽にしてあげよう。……このままね」

幼子が足の指先を器用に使って男のズボンから性器を露出させた。

ぼろんっ、と半分ほどまで皮を被ったペニスがこぼれ出てくる。足先で裏筋を撫でながら皮を引っ張ると、汚臭漂う亀頭が姿を現した。

「うぐ……っ」

「まだ皮を剥かれただけだろうに、どうしてそんなに息を荒くしているのだか。ふふ……童女の足がそんなに好きかね」

すりすりと靴下越しに足がペニスを撫でる。幼子の汗で湿った靴下が亀頭の根本から裏筋を何度も往復して、男は情けなく身を快感でよじった。

尿道から湧き出す我慢汁が幼子の靴下に染みこむ。そして精子混じりの分泌液で濡れた足はペニス全体に我慢汁を塗布した。

濡れて動きやすくなったことで、足の動きが激しくなる。技術もなに

もない、精を搾るためではなく汚物を踏みにじる乱雑な足責め。だからこそ男は被虐的な心を刺激された。

額に汗しながらペニスを踏みつける幼子は、真っ白い頬を紅潮させて亀頭を踵でグリグリと捩る。

「はあっ、……ははっ!踏まれてるだけでおちんちんビクビクさせて、今にもイってしまいそうじゃないか。ほら、出してしまいなよ。無様に悶えて精液を足にかけてしまえばいい」

ぐぎゅっ、と足がはち切れそうになっていた肉棒全体を踏みつけた。

押し潰されそうな強い刺激が我慢という名の理性を蹴破った。

「う、うわあああああ――っ!」

どくっ! どくっ! どくんっ!

ペニスが弾けた。幼い少女の足によって射精に導かれた肉棒は、脈打って濁流のような白濁を噴出する。

真っ白い精液が幼子の足にべったりと降りかかった。純白の樹液が肉感に乏しい太腿からふくらはぎまで垂れて、黒い靴下も精子でてらてらと光る。生殖活動のために精製される子種は幼子の未熟な足を精の色で汚したのだ。

足の裏から伝わってくる大きく熱い肉棒の脈動に幼子は酷薄に笑む。

「あっははっ、本当に足で出すなんて……それも、こんな小さな私に踏まれて精を漏らしてしまうだなんて。ねえ、恥ずかしくないの?」

幼子の言葉が男の胸に突き刺さり、顔は羞恥で真っ赤になる。何も云い返せないほどの恥ずかしさと屈辱に頭が沸騰していた。けれど、その感情さえもゾクゾク とした快感となって背筋を走り抜ける。今も幼子の足で踏みつけられている自分のモノを見下ろして、男は押しとどめ難い疼きを覚えていた。

「あれ、また硬くなってきたね。まさか、踏まれているペニスを見て興奮したのかい?度し難い性癖だねっ」

一際強く幼子の足が肉棒を踏む。イったばかりなところへ叩きつけられる刺激。

「はうっ」

「小さい女の子に虐められるのが好きなんて……なら、これがお望みなんだろう?」

幼子が自分の下半身を覆っていた布をはぎ取ると、そこには毛すら生えていない秘所があった。

男の視線を釘付けにして、ゆっくりと腰をペニスへと降ろす。亀頭が小さな亀裂を押し広げ――。

ずんっ、と女性器が裂けんばかりにねじ込まれるペニス。だが、悲鳴をあげたのは男の方だった。無数の襞で陰茎をなで回す狭い狭い女陰に、男は一瞬で限界を迎えた。

幼子の躯を突き抜ける勢いで放出される精液。

男に跨った幼子は、自分の下腹部を撫でる。掌には、止まることのない射精に狂ったペニスの感触が伝わってきた。

「はは、出すといい……死ぬまで、私の性器に抱かれて……」

艶然と笑う姿は、幼い姿からは想像できぬほどに淫らだった。

無数の女体が躯に絡みつく。柔らかく、細い腕が男の上半身を抱きしめる。豹のようにしなやかな足が、男の足に纏わり付く。絶世の美女たちが、ひとりの男を全身で愛撫していた。

ピンク色のシーツ、ふかふかのベッド、そしてどこまで続くかもわからな

い空間――。

ここには世界中のあらゆる快楽が混在していた。

大きな肉の果実が男の背中に押しつけられ、のの字を書くように動き回る。背筋をなぞる乳房の感触に男は脳髄が溶け出して耳から溢れてしまいそうになっていた。

男の股の間には三人の女性が躯を滑り込ませて、熱心にペニスを銜えている。その三人に、それと背後にいる女性も、総て同じ顔をしていた。

それは路地裏であった女性だと男は曖昧になっていく脳で思い出したが、間断なく与え続けられる快楽にそれ以上の思考を働かせることはできない。陰茎をなぞる舌と唇の感触は、女体に溺れる以外の選択肢を奪い去っていた。

だから、どうして警邏で路地裏に立ち寄っていたはずなのに、こんな場所にいるのか――なんて疑問に答えを見つけることもできなかった。

「キミの場合はハーレム願望か――実に判りやすくて健全だね」

背中から男を抱きしめている女性、イザベラが耳元で囁いた。言葉に揺らぎはなく、一定のリズムを保っているのに、耳にかかる息だけは溶岩のように熱い。

「なにが……なにが起こってるんだ……」

熱い吐息に意識がわずかに引き戻され、男はようやく意味のある言葉を発することができた。

イザベラはからかうような声音でそれに答える。

「私はね、相手の嗜好にもっとも適した姿を知ることができるんだよ……欲望っていうのは、あまりに輝きが強すぎるから、手に取るように判るのさ」

「で、でも……なんで、こんなに、人が……」

「そうだね……」

優しく、些細な質問の問いを伝えた。

「私が魔女だから、かな?」

男のペニスに群がっていた三人のイザベラが口淫の速度を速めた。ぴちゃぴちゃと涎を垂らしながら、男の欲望を限界まで導く。

そうして、何度目かも判らなくなるくらいの射精。